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水槽のコケ取り効果も!リン酸塩、ケイ酸塩吸着剤のススメ

マリンアクアリウムにおいて海水魚、特にサンゴを飼育する場合に注意すべき水質の一項目に、リン酸塩、ケイ酸塩という物質があります。

これらの物質はコケの発生の原因となるなど様々な面で水槽に悪影響を及ぼすので、できる限り除去する事が望ましいです。

コケを取っても取っても生えてくるという方は、コケの原因となるリン酸塩やケイ酸塩が蓄積しすぎているかもしれません。

この記事では、この厄介なリン酸塩、ケイ酸塩の発生の原因と、これらの物質が増えることによる悪影響、そして対処の方法について解説していきます。

リン酸塩、ケイ酸塩とは?

リン酸塩

リン酸塩は1個のリンと4個の酸素から構成される多原子イオンまたは基から形成される物質である・・・

なんてムズカシイ化学の事は筆者にはわからないです(笑)

読んでいる方も特に知りたくないと思いますので、とりあえずリン酸塩、ケイ酸塩は水槽にとって害のある物質という事だけ知っておけばいいでしょう。

 

リン酸塩は、主に海水魚に与える餌に含まれるリンが原因で発生します。リンは生命の活動に欠かせないものですので、海水魚を飼育している以上は避けることができません。

リン酸塩は、藻類やシアノバクテリアの発生の原因となり、リン酸塩が多いとすぐにコケが生えてきます。

また、サンゴの骨格の成長を阻害するので、特に骨格を発達させて成長させるタイプのサンゴ(SPS、一部のLPS等)を飼育する際に害となります。

 

ケイ酸塩は主に水道水に含まれている分が、足し水や水換えによって水槽内に混入します。

こちらも水換えは飼育に欠かせないものですので、避けられない混入ということになります。

ケイ酸塩は、珪藻(いわゆる茶ゴケ)の発生原因となり、いくらコケを取ってもケイ酸塩が多いと次から次へとコケが生えてきます・・・。

リン酸塩、ケイ酸塩の除去方法

先に述べた通り、リン酸塩、ケイ酸塩共に魚を飼育している以上、水槽への混入は避けることができません。

これらの物質が蓄積するとコケの発生原因となったり、サンゴの飼育に害となったりするのでできる限り水槽内から取り除くべきです。

特にサンゴを飼育している場合は、リン酸塩の値をかなり低く抑えないとサンゴがまったく成長しません。最悪の場合、サンゴが死んでしまいます。

サンゴの飼育では硝酸塩の値を第一に気にする傾向にありますが、どちらかと言うとリン酸塩の値を気にするべきだと筆者は考えています。

最近の高性能な器具やシステムを使用すると、硝酸塩については簡単に除去する事ができますので・・・。

硝酸塩の値は低いのにサンゴがなかなか成長してくれない!調子が悪い!なんて経験のある方はリン酸塩の値を一度気にしてみるといいでしょう。

 

さて、話が少しそれましたが本題のリン酸塩、ケイ酸塩の除去方法について考えていきます。

リン酸塩、ケイ酸塩の除去方法には大まかに3種類の方法があります。

  1. 水換えで減らす
  2. 生物ろ過で減らす
  3. 吸着剤を使用して減らす←オススメ

それぞれどのような方法なのか見ていきます。

1.水換えで減らす

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最もシンプルな方法です。リン酸塩、ケイ酸塩が蓄積してしまった水槽の海水と、新しい海水を交換する事で水槽内のそれぞれの値を減らそうという考えです。

この方法のメリットは、毎週の水換えのついでに行うことができるというところです。

このブログでは毎週、水槽の総水量の2~3割程度の水換えを推奨していますが、それは硝酸塩の除去やミネラルの供給はもちろん、リン酸塩、ケイ酸塩の除去も考えての事です。

硝酸塩の値がそこまで高くないからだったり、サンゴがそんなに入っていないからだったりといった理由で、水換えの頻度や量を減らしていた方は、一度リン酸塩やケイ酸塩についても考えてみる必要があります。

 

ただし、この方法には致命的なデメリットがあります。

それは、水道水には多量のケイ酸塩が含まれているため、ケイ酸塩については減らすどころか増やしてしまう恐れもあるということです。

先ほど、ケイ酸塩の主な混入原因は水道水と言った通り、ケイ酸塩はリン酸塩と違い、水道水に含まれても良い基準値が存在しない為、水道水に多量含まれています。

これではいくら水換えをしてもケイ酸塩がどんどん供給され、コケが減るどころかどんどん増えていってしまいます。

これを防ぐには、「R/O(逆浸透膜)浄水器」と、「イオン交換浄水器」を使用する必要があります。

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これらの浄水器は、普通の家庭用の浄水器よりも更に多くの物質をろ過する浄水器で、ほぼ99%純水に近い水をつくることができます。

水質に極めて敏感なサンゴ(SPSなど)を飼育する際に使用されることがある浄水器です。

これを使えば、リン酸塩、ケイ酸塩が含まれていない海水で水換えをすることができ、正に理想的な方法なのですが、難点は浄水器自体が非常に高価ということです・・・。

「R/O浄水器」と「イオン交換浄水器」のセットで3万円弱~6万円程度の値段がします。

また、一般の浄水器とは異なり、R/O浄水器は「捨て水」が出るのと、ろ過をするのに時間が掛かるという点で使い勝手が悪いです。(家の水圧や季節にもよりますが、10Lつくるのに30分~2時間程度掛かります。)

SPSなどの飼育が難しいサンゴの飼育をするならともかく、コケを減らす目的でこの値段を出すのはちょっと気が引けますよね・・・。

ただ、間違いなく効果はあります。筆者もこれらの浄水器を使用してからコケ掃除をする頻度がかなり減り、またサンゴの状態も非常に良くなりました。

サンゴの飼育をしている方や、多少の出費をしてでもコケを原因から減らしたいという方には是非購入していただきたい機材です。

2.生物ろ過で減らす

簡単に言うと、ろ過バクテリアに分解してもらって減らそうという考え方です。

ただし、通常のろ過方法ではリン酸塩はほとんど減らないので、意図して生物ろ過でリン酸塩を減らそうと思ったら、バクテリアの働きを活性化させる必要があります。

そこでおすすめなのがこちらの「NO3:PO4-x」という添加剤です。

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これは、簡単に言うと、バクテリアの働きを添加剤によって通常の何十倍にも活性化させて、生物ろ過のパワーを強制的に上げようという考えの添加剤です。

この考え方は、BP(バクテリオ・プランクトン)システムと言って、最近では最も流行しているろ過システムです。

活性化したバクテリアは大量の酸素を必要とするので、それを供給するプロテインスキマーは必須となりますが、毎日の少量の添加をするだけで、硝酸塩を極めて低い値で保てるという優れたシステムです。

このろ過の過程で一部のバクテリアがリン酸塩を大量に抱え、それをスキマーで取り除く事で、間接的にリン酸塩を除去する事ができます。

 

この方法のメリットとしては、添加剤を少量添加するだけで済むところと、同時に硝酸塩を強力に除去する事ができるところです。

サンゴ飼育の障害となる硝酸塩を簡単・強力に除去できるので、サンゴを飼育している方には一石二鳥の優れた方法だと言えます。

デメリットとしては、プロテインスキマーの設置が必須なことと、ケイ酸塩に関してはあまり減らすことができないということです。

ただし、ケイ酸塩に関しては前述した浄水器を使用すればほぼ発生原因を絶つことができますので、浄水器の併用が理想的だと言えます。

 

この方法は素晴らしいですが、どちらかと言うと硝酸塩を減らすことに重きを置いている方法ですので、リン酸塩に関しては減りきらない場合もあります。

その場合は前述した浄水器を用いた水換えで対処するか、後述する吸着剤を併用する事で対処しましょう。

3.吸着剤で減らす

筆者のおすすめの方法です。上記の2つの方法よりも手軽で、確実にリン酸塩、ケイ酸塩を減らす事ができます。

リン酸塩、ケイ酸塩の吸着剤を使用します。

様々なタイプの吸着剤が販売されていますが、オススメは酸化鉄系の黒茶色の吸着剤です。

アルミナ系の白色の吸着剤も、吸着能力としては問題ないのですが、アルミニウムの放出があるのでこれがサンゴなどに悪影響を及ぼす可能性があります。

これらの吸着剤は、水槽内に入れておくだけで強力にリン酸塩、ケイ酸塩を除去します。

水流のあるところに設置することで更に効果的に吸着する事ができますので、フィルターを使用している場合はフィルター内、オーバーフロー水槽の場合は落水部やクーラーやスキマーの戻り水の出水口付近に設置する事で非常に強力に吸着してくれます。

資金に余裕のある方は流動フィルターの使用もオススメです。見た目も面白いですし、吸着剤と水の反応面積が最大になるので、効率も素晴らしいです。

吸着剤は、水槽内のリン酸塩、ケイ酸塩の量にもよりますが、2~4ヶ月程度効果があります。コケの発生が早くなってきたと感じたら交換しましょう。

以下オススメのリン酸塩、ケイ酸塩吸着剤と流動フィルターです。

ローワ フォス

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海水魚・サンゴ飼育で人気のリン酸塩、ケイ酸塩吸着剤と言えばこのローワフォスです。

酸化鉄系の吸着剤で、圧倒的な効果があります。pHなど水質の変化も最小限に抑えられていて、非常に高性能な商品です。

値段は結構しますが、費用対効果は素晴らしいです。SPSサンゴを飼育しているハイエンドユーザーなどにもオススメです。

コンティニュアムアクアティクス キャプティブフォス

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こちらは最近発売されたリン酸塩、ケイ酸塩吸着剤です。

酸化鉄系の吸着剤です。コンティニュアムアクアティクスが海水の添加剤ラインなので、基本海水での使用が想定されているところもポイントです。

使用してみた感じ、性能はローワフォスと同等、粒がかなり細かいのでストッキングなど、目の細かいネットを使用する必要があります。

ローワフォスに比べて若干安いのでコスパ重視の方はこちらもオススメです。

ZEST マルチメディアリアクター M

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アクアリウム用品メーカーとしては非常に有名なゼンスイの海水ライン、ZESTのマルチメディアリアクター(流動フィルター)です。

この筒の中に吸着剤を入れて、飼育水を循環させる事で吸着剤を最高効率で使用する事ができます。

値段は高いですが、性能、見た目共に素晴らしいので余裕のある方は購入してみてもいいかもしれません。

リン酸塩、ケイ酸塩の測定方法

除去方法について説明してきましたが、実際に除去できているのか、今はどれくらいの値なのかを知る為には、リン酸塩、ケイ酸塩測定用の試薬が必要になります。

コケの発生抑制目的でしたら測定するまでも無く、試薬を買うお金で吸着剤を買ったほうがいいくらいですが、どうしても測ってみたいという方や、サンゴを飼育している方でしたらリン酸塩測定用の試薬は持っていて損は無いので購入しておきましょう。

安値な液体の試薬タイプのものと、ちょっと高価なデジタル式のものを紹介しておきます。

RedSea リン酸塩テストキット

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海水用品メーカーでは大手のレッドシーのリン酸塩測定用の試薬キットです。

精度0.1ppm、測定範囲0-32ppm、試薬も100回分でこの価格はコスパに優れています。

測定は比色方式ですので、ちょっと頼りない部分もありますので、確実に正確に測定したいという方は以下のデジタル式をオススメします。

ハンナ リン酸塩チェッカー

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こちらはサンゴ飼育者の間ではおなじみのハンナのリン酸チェッカーです。

デジタル式なので、機械が測定してくれる安心感があります。ただし、採水、粉末試薬の投入までは手動で行う必要があるので完全に機械が全て測定してくれる訳ではありません。

本体、試薬共に結構なお値段がしますので、サンゴ飼育(特にSPS飼育)をしている方でしたら買っておいてもいいかなと思います。それ以外でこのレベルの機材は不要ですね。

セラ ケイ酸塩テスト

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セラのケイ酸塩の試薬です。50回測定できます。

正直ケイ酸塩はRO/DI浄水器や吸着剤を使用すればほぼ取り除けますし、そこまで測定するものでもないので、よほど数値を知っておきたいなどという場合でない限り、買う必要があるものでもありません。

たくさんの試薬を揃えておきたい場合などに。

まとめ

コケやサンゴの成長阻害の原因となるリン酸塩、ケイ酸塩について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?

リン酸塩、ケイ酸塩除去で手っ取り早いのは、ずばり吸着剤を使うことです。

これらの吸着剤はかなり強力なものなので、明らかに実感できるレベルで変化があると思います。

個人的な意見ですが、SPSサンゴの飼育ではこれらの浄水器+吸着剤の使用は必須だと言ってもいいくらいだと思っています。

吸着剤は使ってデメリットがあるものでもありませんので、積極的に使っていくべき用品だと言えます。

ただし、ケイ酸塩については吸着剤でも対処できますが、更にコケの生えずらい環境にする為にはR/O浄水器、イオン交換浄水器を使用すると良いでしょう。

コケは見た目が悪いですし、原因から除去して快適なアクアリウムにしていきしょう。

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