とにかく海水魚が飼いたい!サンゴは飼わなくていいからたくさんの海水魚を混泳させたい!という人が知っておくべき海水魚水槽のメリット・デメリットについて解説していきます。
海水魚だけを飼う水槽とはどういう水槽のこと?
海水魚だけを飼う水槽とは、文字通り、飼育対象を海水魚に絞った水槽のことです。
マリンアクアリウムの世界で海水魚水槽と言ったら、サンゴ飼育をせず海水魚だけを飼育する水槽のことを指します。
ここでは、この「海水魚だけを飼う水槽」を、コケ取り、クリーナーとして貝類や甲殻類を多少入れることはあっても、サンゴやイソギンチャクは全く入れない水槽と定義します。
サンゴも海水魚と一緒に飼育する、またはサンゴをメインとした飼育をしたい場合は以下の記事を参考にしてください。
海水魚だけを飼う水槽のメリット
このような飼育形式をとるメリットとして、サンゴを飼育しない事で、制約されない自由な飼育をしやすくなるという点が挙げられます。
このメリットを解説する上でまず前提条件として、一般的に飼育難易度が「サンゴ>海水魚」となるということを知っておいてください。
そしてこの飼育難易度の違いに伴って、飼育に必要な機材も、ただ海水魚を飼育するよりもサンゴを飼育する方がより専門的で高価な機材が必要になってきます。
従って、海水魚だけを飼う水槽の場合、海水魚が飼える最低限の設備を揃えるだけで済むという点が大きなメリットと言えます。
要するに、サンゴの飼育をしないことによって飼育設備や飼育スキルの要求レベルのハードルを下げる事ができるということです。
これは、はじめから高価な機材を揃えることが難しい飼育初心者には嬉しいメリットであると言えますね。
また、海水魚の中にはサンゴを食べる習性をもつ魚もいます。チョウチョウオやヤッコなどがその代表ですが、これらの魚を飼いたい場合、一緒に入れているサンゴが食べられてしまう事があります。
海水魚だけを飼う水槽の場合、そもそもサンゴを入れていないのでこのような魚を飼う場合でも気を使う必要がなくなります。これもまた海水魚だけを飼う水槽のメリットと言えますね。
もうひとつ大きなメリットとして、海水魚の病気治療薬を使用することができます。
飼育している海水魚が何らかの病気になってしまった場合、海水魚用の病気治療薬を使うことがあるのですが、このような治療薬は大抵の場合、サンゴにとっては非常に有害で、サンゴが入っている水槽では使用することができません。
よってサンゴが入っている水槽内の海水魚が病気になってしまい治療が必要な場合は、水槽から魚だけを取り出し、別の水槽に移しそこで治療するというのが一般的ですが、魚を取り出す作業や治療用の水槽を用意する作業は正直言ってとても大変です。
しかし海水魚だけを飼う水槽ならこういった面倒な作業が必要なく、そのまま水槽に治療薬を入れることができるのでとても簡単に治療を始める事ができます。
このようなことから、海水魚だけを飼う水槽では、チョウチョウオなどの病気にかかりやすいデリケートな海水魚を飼育する場合にアドバンテージがあると言えます。
初心者の方は勝手が分からず飼っている魚を病気にさせてしまう事が多いので、そうなってしまった場合にすぐに治療に移れるという点で初心者の方にも嬉しいメリットだといえます。
海水魚だけを飼う水槽のデメリット
海水魚だけを飼う水槽のデメリットとして、「いざサンゴ飼育をしようと思ったときに、メリットだった点が一転、デメリットとなってしまう」ということがあります。
例えば、海水魚だけを飼う水槽では最低限の設備で飼育を始められる事がメリットでしたが、いざサンゴを飼育しようと思っても大抵の場合はその設備ではサンゴを飼育する事はできません。
追加で機材を購入したり、最悪の場合全ての機材を買い換えなくてはいけない事もあります。
買い替えとなってしまった場合、今まで使っていた機材が無駄になってしまいますし、これは明らかにメリットがデメリットとなってしまった例と言えるでしょう。
サンゴを食べてしまう魚を飼えることが海水魚だけを飼う水槽のメリットだと言いましたが、この場合も、いざサンゴを飼育しようと思った場合、サンゴを食べてしまう魚がいるせいでサンゴを飼う事ができないということになります。
また、海水魚の病気治療薬を使った事がある水槽では、薬品の成分が機材や飼育水に残留し、サンゴを入れた場合に悪影響を及ぼす可能性が高いです。
この場合もメリットがデメリットとなってしまう例と言えるでしょう。
以上のように、海水魚だけを飼う水槽では、いざサンゴを飼おうと思った場合に不都合が生じることが多いです。
はじめからサンゴの飼育をしない前提の水槽なので当然といえば当然なのですが・・・。
まとめ
海水魚だけを飼う水槽のメリット・デメリットについて知ることができましたか?
設備投資が安く済む、病気治療薬が使えるなど、初心者には嬉しいメリットもありますが、サンゴを飼育しようと思うと不都合が生じるのは大きなデメリットですね。
以上より、海水魚だけを飼う水槽は、絶対にサンゴを飼育しないという人や、水槽にかける予算をできるだけ抑えたい人、サンゴを食べてしまう魚や病気にかかりやすい魚を飼いたい人に特におすすめできる水槽形式と言えますね。
逆に、少しでもサンゴに興味があったり、色々な状況に柔軟に対応できる汎用性の高い水槽にしたいという方はこのような水槽でなく、以下の記事で解説しているような海水魚もサンゴも飼育できる水槽を目指すべきだと言えます。