白と黒の縞模様が特徴的な非常に可愛らしい姿が人気のシマヤッコ。筆者も大好きな海水魚です。
飼育が難しいとされるヤッコですが、この記事ではシマヤッコの飼育、餌付け、混泳方法などを解説していきます。
シマヤッコとは
シマヤッコはアブラヤッコ属に属するヤッコの一種で、世界中の多くのサンゴ礁などに生息しています。
独自の縞模様と可愛らしい動きで人気の海水魚ですが、非常に臆病な性格ゆえ、餌付きにくい、他の海水魚との混泳が難しいなど、飼育難易度が非常に高い海水魚とされています。
値段もヤッコの中では比較的安値(4000円~)なので飼育初心者の方がついつい手を出してしまいがちですが、何の用意もせず、ショップや通販で衝動的に購入して持ち帰ってそのまま飼育できるような魚ではありませんので、十分にシマヤッコに関する知識を付け、迎え入れる準備を完璧にして飼育を始める海水魚だということをまず知ってください。
シマヤッコは確かに飼育が難しい海水魚ではありますが、十分に準備した上で迎えてあげた場合、手間はかかりますが飼育難易度はそこまで高くはないと筆者は考えていますので、是非この記事ないし他のブログや雑誌などで十分に知識を蓄え、迎え入れる準備をしましょう。
なぜシマヤッコの飼育は難しいのか
さて、シマヤッコが飼育の難しい海水魚だというのは既に述べましたが、飼育の準備をするために、まずなぜシマヤッコの飼育が難しいのかその要因から知る必要があります。
シマヤッコの飼育が難しいとされる要因は大きく2つあります。
まず第一に、シマヤッコが非常に臆病で警戒心が強い魚だということです。
自然界でシマヤッコは岩場などの隠れ家になるものが多い場所に生息しています。少しでも身の危険を感じるとスッと岩の隙間に逃げ込むような臆病な魚なのです。
このような性格ですので、水槽内で飼育をすると、他の魚や飼育者の動きが気になってライブロックの隙間に引きこもってしまうことが多々あります。
また、水槽内では十分に身を隠せる、安心できる場所が無いことが多く、そのような場合は常にびくびくと周りを警戒している状態になってしまいます。
このような状態になってしまったシマヤッコは餌など与えても見向きもしませんし、ストレスが溜まって状態が悪くなっていくのが目に見えてわかります。
シマヤッコは同じヤッコでも、飼育しやすいと言われているヤッコ(フレームエンゼルやピグミーエンゼルなど)と同じ種類だとは考えないほうがいいです。
それくらいシマヤッコは臆病な魚で、この臆病さが飼育難易度を跳ね上げている要因だといえます。
そしてシマヤッコの飼育が難しいとされるもう一つの原因は、薬物採取によるものです。
既に述べた通り、シマヤッコは非常に臆病な魚ですので、天然のシマヤッコを捕獲するのは非常に困難であるといえます。
複雑に入り組みあった岩場などでシマヤッコを捕獲するのはプロでも非常に難しいでしょう。
ですがシマヤッコは人気のある魚ですので、シッパーとしてはどうしても多く採取してたくさん売りたいわけです。
するとどういうことになるかというと、ダイバーは薬物を使って魚を簡単に捕獲しようと考えるわけです。
薬物を使った採取とは、簡単に説明しますとシアン化合物などの劇薬を岩の隙間などに吹きかけるとその中にいた魚が瀕死の状態になって出てくるので、ダイバーは苦労せずその魚を捕まえることができるというわけです。
このように捕獲された魚は、外傷が無く、捕獲された後しばらくすると普通に泳ぎだすので問題が無いように思えますが、実際は劇薬の影響で内臓などはボロボロの状態で、その後餌を食べれず死んでしまうことがほとんどのようです。
この薬物採取の問題は最近では世界的な社会問題になりつつあります。法的に規制されている場合がほとんどなのですが、熱帯魚の最大の供給元であるアジア諸国ではやったもん勝ちといった感じでこのような行為が横行してしまっているのが現状のようです。
話が若干逸れてしまったので戻しますが、結論から言うと、日本に輸出されるシマヤッコの多くはこの薬物採取により採取された個体である可能性が高いということです。
薬物採取された個体は見た目問題ないように見えますが、どんな手を尽くしても決して餌を食べることはなく、2週間程度で死んでしまうことがほとんどです。
ベテランの方では薬物採取されたシマヤッコを見分けることができるのかもしれませんが、飼育初心者の方にはまずわからないでしょう。
このように薬物採取された個体が多く流通してしまっていることで、本来のシマヤッコの飼育難易度以上に飼育が困難なものとなっているのです。
シマヤッコの飼育方法
シマヤッコの飼育が難しい原因を知ったところで、それを踏まえて具体的なシマヤッコの飼育方法について考えていきます。
既に述べた通り、シマヤッコは非常に臆病で警戒心が強い海水魚です。
他の魚が近付いできただけでもびっくりして姿を隠してしまう程です。
よって、シマヤッコの飼育で理想的なのは、シマヤッコを単独で飼育することだといえます。
単独飼育することで、他の魚に怯える心配もなくなり、また他の魚に餌をとられる心配もなく、落ち着いた環境で餌付けを行うことができます。
これは筆者の考えですが、シマヤッコは単独飼育することができれば、もう7割は飼育が成功したのも同然だといえます。
あとの1割は設備や管理が不十分で水質を悪くしてしまったりといった水質面での問題で、残りの2割は薬物採取の個体を掴まされたり極端に臆病な個体を選んでしまったりといった運の要素です。
ですが実際には既に水槽内には他の魚がいたり、いくらシマヤッコを飼育したいとはいえ他の魚も混泳させたいという場合がほとんどだと思います。
そういった飼育を否定するつもりは全くありません。筆者も魚はたくさん泳がせたい派です。
しかし、シマヤッコに関しては、飼育難易度に対する環境の依存度が高すぎるので、ぐっとこらえて単独飼育をするべきだと思います。
どうしても混泳させたい場合、混泳させる魚は全てシマヤッコ以下のサイズで大人しい性格の魚ということを前提として、かつ餌付けが完了するまでは別の水槽を用意してそこで餌付けを行うのが無難だと思います。
また、先にシマヤッコを単独飼育し、餌付けも完璧になった状態の水槽に気の強くない小さめの魚をあとから追加するのはあまり問題にならないことが多いのでこちらもおすすめの方法です。
既に他の魚がいる水槽に隔離ケースを設置しそこで餌付けを行う人も多くいますが、それでうまくいったケースはあまり聞きませんし、実際に何度か挑戦した結果筆者は失敗しているのでおすすめはしません。
また、隔離ケースも別水槽も用意せずに既に他の魚がいる水槽に直接というのは正直無謀な挑戦と言わざるを得ません。絶対にやめたほうがいいです。
こういったことを踏まえ、この記事ではシマヤッコを単独飼育、もしくは一時的に単独飼育をし餌付けを行う場合を想定して書いていきます。
シマヤッコの飼育環境
それではシマヤッコの飼育に必要な具体的な飼育環境・設備について解説していきます。
水槽
シマヤッコは最大でも10cmに達することはほとんどない小型の海水魚で、ショップで売られている個体は4~6cm程度のものが多いです。
よって水槽は小型水槽でも飼育が可能で、最低30cmキューブ水槽(約30L)程度のものが用意できれば飼育は可能です。
餌付けを行う(=多くの餌を与える)ことで水質が悪化しやすいので、60cm水槽(約60L)以上であればより安定して飼育ができると思います。
また、何度も言いますがシマヤッコは非常に臆病で警戒心の強い魚ですので、飼育者が水槽の横を通るだけでも驚いて岩陰に隠れてしまいます。
できるだけ落ち着いた環境にしてあげるために、水槽の横、後ろの3面が黒ガラスになっている下記の水槽などもシマヤッコの飼育にはおすすめです。
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また、予算が許すならば後述するナチュラルシステムを採用する為に、オーバーフロー水槽にするのも非常におすすめです。
ろ過
シマヤッコは比較的深場の岩礁に生息していることが多く、ここは水質の変化が少なく生物層も豊かな環境です。
こういった環境を再現するために、水質を安定させやすく、生物層も保ちやすいナチュラルシステムでの飼育がおすすめです。
ナチュラルシステム(≒ベルリンシステム)については上記の記事で解説していますので、まだ読んでいない方は是非読んでおくことをおすすめします。
簡単に言うと、ナチュラルシステムとは生物ろ過フィルターを使用せず、代わりにプロテインスキマーと呼ばれるろ過装置を用いて海水を清浄に保つシステムのことです。
従って、ナチュラルシステムに必要なプロテインスキマー、ライブロック、ライブサンドは用意すべきだといえます。
通常ろ過、すなわち一般的なろ過フィルターを使用したろ過システムでの飼育も不可能ではないですが、できる限りナチュラルシステムでの飼育が好ましいです。
どうしても通常ろ過での飼育を行いたいという場合は、スペックに余裕のあるフィルターを使用したり、プロテインスキマーを併用したりしてろ過の強化を図りましょう。
照明
シマヤッコは比較的深場に生息している魚ですので、特別明るい照明は必要ではありません。
よって、シマヤッコの飼育のみを考えるならどんな照明でも朝と夜さえつくることができれば使用できます。
将来的にサンゴを一緒に飼育することを考えて、餌付け時は深場を再現した暗めに、その後はサンゴを飼育できるよう明るめに、と状況に応じて明るさの変更ができる調光機能のついた下記の照明のようなものを用意しておくのが吉だと思います。
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ライブロック
ライブロックはシマヤッコの飼育ではとても重要な役割をします。
シマヤッコが住みかとして好む岩礁を再現でき、またライブロックから発生する微生物はシマヤッコの餌となります。
シマヤッコが隠れられるスペースが組める程度のライブロックを用意できればベストですが、そうでない場合は隠れ家として別のものを用意してあげる必要があります。
筆者のおすすめは下記のようなT字型の塩ビジョイントで、これを沈めておくとだいたい住みかにしてくれます。
見た目がよくないですが、ライブロックを周りに配置してうまい具合に隠したり、最悪餌付いたら片づけてしまえばいいので一時的なものだと思って我慢しましょう笑
ホームセンターの配管コーナーで安く売っているので何個か持っておくと重宝します。
ライブサンド
ナチュラルシステムでは重要な役割を果たすライブサンドも見栄えの面からもあったほうがベターです。
ただし一時的な餌付け水槽で飼育をする場合は、餌付けの際に残った餌を処理しやすく、白点病のリスクが少なく、餌付け終わった後に片付けが楽といった点から砂を敷かないベアタンクでの飼育をする人が多いです。
筆者の考えとしては数か月程度の一時的な飼育でしたらベアタンクのほうがメリットが多いのでそちらを推奨しています。
サンゴも一緒に飼育したり、年単位での飼育を考えている場合は安定感がありますし何より見た目がいいのでライブサンドを3~5cm程度敷くのをおすすめしています。
底砂についてはベテランの方の中でも意見が分かれやすいので情報の取捨選択はおまかせします笑
そのほかの機材(水槽台、人工海水、スキマーetc)については一般に海水魚を飼育する際に使用するものと同じもので問題ありません。
下記記事にて解説をしていますのでそちらを参考にしてみてください。
シマヤッコの餌付け方法
シマヤッコを飼育する上で避けては通れない餌付けについて解説していきます。
まず、餌付けを行う前提の条件として、落ち着いた環境を整えてあげる必要があります。
落ち着いた環境の条件としては、他の魚に餌をとられる心配がない、人が頻繁に近くを通ったりしない、十分に広く、隠れられる場所のあるスペースがあるなどです。
シマヤッコの餌付けはこういった前提条件がクリアーできてはじめてスタートラインに立てるといっても過言ではありませんので、成功させたい方は徹底しましょう。
餌付けの手順としては、基本的に人工飼料→冷凍飼料→生餌の順で試していくことになります。
人工飼料
いわゆる海水魚用フードです。粒餌やフレーク状のものが多いです。
最終的には人工飼料に餌付けることが目標となりますが、はじめから人工飼料を食べるシマヤッコは珍しいと思ってください。
餌付けに使用する人工飼料は、シマヤッコの食性を考えると植物性の飼料が適しているでしょう。
海藻70、メガバイトグリーンなどはヤッコに与える人工飼料としては定番なのでとりあえずこれらを買っておけば間違いないです。
メガバイト グリーンS
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シマヤッコを水槽に入れた翌日から、1日2~3回、少量を与えてみて、2~3日繰り返しても食べないようでしたら諦めて冷凍飼料に移行します。
少しでも興味を示してつつく素振りを見せるようなら継続してみる価値はありますが、あまり量を食べてくれない場合は痩せていってしまうので、1週間程度経ってもバク食いにならないようならシマヤッコの体力を考え、冷凍飼料に移行することも考えます。
冷凍飼料
ホワイトシュリンプ、ブラインシュリンプ、イサザアミ、コペポーダなど小エビやプランクトンを冷凍させた餌のことです。
人工飼料と違い、海水魚が自然界で食べている餌の形そのままなので餌として認識されやすく、餌付けに向いているといえます。
多くの海水魚が非常に好むのですが、解凍の手間が面倒、水質が悪化しやすい、人工飼料に比べて栄養が偏るなどの点から普段与える餌としては使いにくいです。
冷凍庫から取り出し、1ブロックを解凍し、少量をスポイトなどでシマヤッコの住みかの上から降らすように与えます。
このときスポイトをあまり近づけすぎると警戒心を強めて食べてくれなくなってしまうので注意します。
あくまで自然に流れてきた風に与えるのがコツです。
シマヤッコが落ち着いた環境に馴染んでいれば冷凍餌は6割くらいの確率で食べてくれます。
冷凍餌を食べてくれるようなら、翌日からは冷凍餌に若干人工飼料を混ぜて与え、日に日に人工飼料の割合を増やしていき、最終的に100%人工飼料を食べることを目標にします。
冷凍飼料を2,3日程度与えても見向きもされないようなら、いよいよ最終手段の生餌に移行します。
生餌
生きている餌のこと。餌付けでは主にアサリかイサザアミが使われます。最もよく食べてくれますが、水の汚れが激しく、日持ちもしないため普段の使用には適さないです。
シマヤッコの餌付けでは主にアサリが使用されるので、今回もアサリを使った場合を解説します。
アサリはスーパーに売っている活きアサリを使用します。
与え方としては殻を開いて、殻がついたままのアサリをシマヤッコの住みかの近くに置きます。
生餌に移行した段階でおそらく1週間近く餌を食べていない空腹状態ですので、ほぼ間違いなくつつくなどの素振りを見せるでしょう。
正直、ここで活きアサリにも反応しないような場合は、落ち着いた環境を整えられていないか、そうでない場合は薬物採取等、よほど状態の悪いシマヤッコを掴まされたことを考えます。
状態の悪いシマヤッコは正直何をやっても状態を持ち直すのは困難で、シマヤッコ初心者の方がこういった個体に当たるとまず間違いなく死なせてしまうので、これがシマヤッコ飼育の難しいところだと思います。
アサリを食べたら、数日間あるいは1週間程度は体力をつけさせるために活きアサリを繰り返し与えます。
活きアサリを一度に一匹まるまる食べることはほぼないので、20分くらい経ち、ある程度食べたなと思ったら長めのピンセットなどを使ってシマヤッコをあまり刺激しないよう気を付けながら水槽から取り出します。
そうしないと水の汚れが激しいので・・・。
アサリを与えている間は水の劣化が激しいので毎日2~3割程度の水替えを行います。
1週間程度アサリを与えて体力もついてきたら、徐々に人工飼料あるいは冷凍飼料に移行します。
人工飼料への移行は、アサリと人工飼料の混合餌を使用するのがおすすめです。
活きアサリのむき身と人工飼料を混ぜ、フードプロセッサーまたはすり鉢でミンチ状にし、これをアサリの殻に貼り付け、冷凍させておきます。
与える際は解凍し、活きアサリの場合と同様に殻ごとシマヤッコの住みかの近くに置きます。
シマヤッコは今まで食べていた活きアサリだと勘違いし、人工餌を知らずに食べるといった具合です。
ここで食べてくれないようなら人工飼料の配合量を減らし、食べてくれるようなら配合量を増やします。
ミンチ餌を作る際に事前に5段階くらいで配合率の違ったものを作成しておくと後々楽です。
最終的には100%人工餌のアサリの殻付き飼料を食べさせ、その後人工飼料に移行させるのが目標です。
このように、最終的に人工飼料を食べてくれるように段階的に餌付けをしていきます。
冷凍飼料、生餌を与えている期間は普段より水替えを増やしたり、餌の調達・解凍など面倒な作業が続きます。
また、人工飼料に完璧に餌付くまで2~3か月かかることもありますので、長期の耐久戦を覚悟・準備しておきましょう。
シマヤッコ飼育の失敗の原因の多くが、この準備が足りていないことによるものです。
なんとかなるだろうと飼育を始めたはいいものの、まったく餌を食べてくれず、色々と調べて手を打った時には時すでに遅しといった場合が初心者の方にはよく見受けられます。
シマヤッコの餌付けは長期戦、生餌からの餌付けが普通、人工飼料や冷凍飼料を食べてくれたらラッキーの気持ちで事前の準備を怠らないようにしましょう。
シマヤッコの選び方(産地・状態)
水槽や餌など、シマヤッコを迎え入れる準備が出来たらいよいよシマヤッコを購入します。
シマヤッコを購入する際に気を付けるべきポイントがあるのでそれを解説していきます。
通販での購入は避ける
シマヤッコは餌付けが長期戦になることが多く、できる限り体力のある状態で迎え入れたいです。
よって、通販での輸送で体力を消耗させることは餌付けの難易度が上がることを意味し、餌付けが非常に難しいシマヤッコにとってこれは非常にリスクのある選択です。
交通県内にショップがあれば、是非自分で足を運んで実際に見て購入することをおすすめします。
後述しますが、実際に見ることで状態の確認もできます。
どうしても通販でしか購入できない場合は、真夏や真冬など厳しい気候の時期は避け、午前中に受け取れる日を選んで発送してもらいましょう。
状態を確認する
シマヤッコは、ショップで実際に見て状態を確認してから購入するのがベストです。
ショップで確認すべき点はいくつかありますが、重要なのは以下のようなことです。
- 餌付け状況
店員さんに言って実際に餌を与えてもらいましょう。
ショップの水槽で人工飼料をバクバク食べるような個体がいたら即お持ち帰りレベルです。
ただし入荷直後からショップの水槽で人工飼料を食べるような個体はまずいませんし、在庫個体では餌付いた個体からすぐに売れていってしまいますので実際にこういう個体に出会う確率はかなり低いと思ってください。
本命は冷凍飼料をバクバク食べるような個体ですね。
しっかりと餌を目で積極的に追って吐き出さずにしっかり飲み込んでいる個体がいましたらお持ち帰り候補だといえます。
底に落ちた餌は食べないなど食いが渋い場合は考えたほうがいいでしょう。
イサザアミなどの活き餌ですら追わないような個体は絶対に購入すべきではないです。誘惑に負けないように。
- 水槽内での動き
シマヤッコの水槽内での動きもチェックします。
理想的なのは、水槽内をゆったりと泳ぎ、人が近づいてもそこまでびっくりせず、ライブロックなどをキョロキョロと目で追って時々つついているような個体です。
このような個体はショップではまだ餌を食べていなかったとしても、持ち帰ってみて単独で餌付けをしてみると案外すんなりと餌付けがうまくいく可能性が高いです。
(とはいえ全く餌に興味を示さない個体は買うべきではないですが・・・)
逆に、水槽内を上下左右にせわしなく泳ぎ回る、人が近づくとパニックになる、背肉が薄い(長期間餌を食べていない≒薬物採取の可能性)などの特徴のある個体は絶対に購入を避けるべきです。
シマヤッコは夏ごろのシーズンになると4~5cmの買いごろの個体が多く入荷するのでこのくらいの時期にショップで複数個体から状態の良さそうな個体を選ぶようにしましょう。
ちょっと状態が微妙だけどショップに1匹しかいないから・・・というような在庫量を言い訳にして妥協するのは絶対にやめましょう。
シマヤッコの餌付けの難易度はこの個体選びで大きく変わってくるので1日ショップの水槽に張り付いて観察する勢いでしっかりと状態を見極めましょう。
産地を気にする
シマヤッコを購入する際にはそのシマヤッコがどこに住んでいたのか、つまり産地を気にする必要があります。
ショップで売られるシマヤッコの産地は主に3種類あり、マニラ(東南アジア)、マーシャル、バヌアツです。
状態の良い順としてはバヌアツ>マーシャル≧マニラと一般的には言われています。
ただし筆者の考えではシマヤッコは産地よりも個体の状態を気にするべきだと思っているので、産地は参考程度に考えるのが無難でしょう。
プラス要素の一つとして考え、バヌアツ産だから、という理由で即買いせず、状態の良さそうなシマヤッコの産地がたまたまバヌアツ産だったならより確信が持てるかなくらいに考えましょう。
とはいえ、バヌアツ産シマヤッコは本当に人気があるので状態を見極める前に即売り切れてしまうことがほとんどです笑
また、バヌアツ産とマーシャル産のシマヤッコはマニラ産のシマヤッコに比べて白黒バンドの白の部分が太く、更に白の部分に薄い黄色いラインが入るという特徴があります。
より上品な雰囲気のマーシャル・バヌアツ産のシマヤッコはこういった面でも非常に人気が高くなっています。
シマヤッコと混泳させる海水魚
前述した通り、シマヤッコは単独での飼育が理想です。
しかし、様々な海水魚と混泳させたくなるのがアクアリストの性です笑
そこで、シマヤッコと混泳ができそうな海水魚を何種類か紹介します。
繰り返しになりますが、餌付けに関しては単独での餌付けを推奨していますので、あくまで餌付いたシマヤッコと混泳させるという前提で読んでください。
デバスズメダイ
デバスズメダイ
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参考価格:¥-※
charm:¥1,600(6匹)※amazon:¥1,720※
※掲載時の価格です。現在の価格とは異なる場合があります。
デバスズメダイは混泳のしやすさでいえば海水魚界ナンバーワンといっても過言ではない、非常に大人しい海水魚です。
安値で丈夫で綺麗と三拍子揃った理想の海水魚でもあります。
デバスズメダイは大人しすぎて逆にほかの魚にいじめられやすいという面を持っていますが、シマヤッコとの混泳ではお互い非常に大人しい性格ですので、問題が起こることは考えにくいです。
ただし、スズメダイは非常に素早く餌を取っていきますので十分に餌付いたシマヤッコでないと餌が回ってこない可能性は考えられるのでその点だけ注意が必要です。
カクレクマノミ
カクレクマノミ
charm
参考価格:¥-※
charm:¥1,400※amazon:¥1,510※
※掲載時の価格です。現在の価格とは異なる場合があります。
カクレクマノミも基本的には温和な海水魚なのでシマヤッコの混泳には適しているといえます。
スズメダイに比べて動きもゆったりとしているので、同じくゆったりとした動きのシマヤッコにはカクレクマノミのほうが合っているかもしれません。
ハタタテハゼ
ハタタテハゼはデバスズメに並ぶ非常に温厚な性格の海水魚です。
少しでも気の強い魚が水槽内にいると引きこもってしまうので、水槽に入れてもなかなかその魅力を引き出せない海水魚でもあります。
シマヤッコとの混泳ならどちらも引きこもることなくお互いの魅力を十分引きだせます。
以前この2種を同じ水槽で飼育していたら同じ寝床で寝ていたほど仲良しになったという経験もあります笑
また、ハタタテハゼは非常に飛び出しやすい海水魚なので水槽に蓋を必ずしましょう!
スミレヤッコ/ニシキヤッコ
シマヤッコと同様、非常に臆病で飼育難易度の高いとされるこれら2種も混泳候補となります。
飼育環境が非常に似ているので、シマヤッコが上手に飼育できている水槽ならこの2種も飼育できる可能性が高いです。
ただし、やはりヤッコ同士の混泳ということで、難易度・リスクは他の混泳に比べて非常に高いです。
シマヤッコやスミレ・ニシキヤッコそれぞれの飼育経験のあるベテランの方に挑戦してみてほしい混泳だといえます。
水槽サイズが小さいと縄張り争いが激しくなるので、2匹でしたら60cm以上、3匹の混泳なら90cm以上の水槽は絶対に欲しいところですね。
混泳させる海水魚として適している条件は、シマヤッコより同等もしくは小さいサイズ、シマヤッコより同等もしくは大人しい性格の海水魚です。
ここで紹介した海水魚でなくても上記の条件に当てはまれば問題は起きにくいので是非混泳に挑戦してみてください。
具体的な飼育プランの例
色々と書きましたが、「つまりどういうことだってばよ・・・?」という方の為に筆者が考えた具体的な飼育プランを提示してみます。
あくまで一例ですので、参考程度にお願いします。
①30cmキューブ水槽での餌付け飼育プラン
水槽 | アクロ30キューブN(ブラックバックプリント) |
水槽台 | プロスタイル300/350SQ |
フィルター | 海道河童(大) |
照明 | フラットLED300 |
ライブロック | ろ材用3L |
こちらの飼育プランはあくまで一時的な餌付け水槽という考え方です。
数か月の短期飼育が前提ですので底砂無し、ライブロックもろ材用の低価格のもので組んでみました。
水量が少ないので水換えは出来る限り多めに、塩ビパイプなどで隠れ家を作り、その周りにライブロックを組んであげるとなお良いです。
②60cm水槽でのVIP待遇飼育プラン
水槽 | アクロ60N 3面ブラックプリント |
水槽台 | 組立アクアキャビ ブラック |
フィルター | 海道河童(大) |
照明 | AI PRIME HD ブラック |
ライブロック | SグレードMLサイズミックス5kg |
ライブサンド | ばくとサンド スモール 9L |
海藻 | ホソジュズモ |
60cm水槽でシマヤッコの単独飼育を考えた飼育プランです。
ナチュラルシステムで安定した水質を保ち、同時に海藻を飼育することでプランクトンを供給しシマヤッコをVIP待遇で迎えることができます。
海藻には増えやすく照明も24時間点灯の必要の無いホソジュズモを選びました。
照明もシステムLEDを採用していますので、ここにそのままサンゴを加えてサンゴ水槽にすることもできます。
オーバーフロー水槽を採用せず、安値で優秀なプロテインスキマーである海道河童を採用することで比較的低予算で組める筆者おすすめの飼育プランです。
また、拘りポイントとして全ての機材をブラックで統一している為、スタイリッシュに決まっています笑
③90cm水槽での欲張り飼育プラン
水槽・水槽台 | REEFER 170 |
照明 | Hydra 52HD + 専用マウントキット |
プロテインスキマー | SKIMS LEOPARD SL183 |
ライブロック | SグレードMLサイズミックス5kg *3 |
ライブサンド | ばくとサンド スモール 18L |
シマヤッコも飼育したいけど他の魚もサンゴも飼育したいという欲張りな方におすすめの飼育プランです。
最新のオーバーフローセットであるREEFER170に、こちらも最新のシステムLEDであるHydra52HDを組み合わせた超ハイスペックなベルリンシステムで組んでみました。
この水槽でしたらソフトコーラル、LPSはもちろん、カルシウムリアクターを追加すればSPSまで余裕で飼育が可能です。
ぶっちゃけた話、シマヤッコの飼育設備というよりは普通のサンゴ水槽設備の紹介ですね笑
シマヤッコの隠れ家にするライブロックは多めにすると見た目もよくなります。
ただしライブロックは意外と高いものですので比例して値段も良いお値段になります笑
こちらも②と同様に海藻類を同時に飼育すると生物層も豊かになりサンゴにも有益ですのでおすすめです。
また、90cm水槽で餌付けを行うと広すぎてシマヤッコが餌を見つけられない可能性があるので①のプランなどで餌付けを行い、同時並行して③の水槽の立ち上げ、熟成を行うといいかもしれません。
90cm水槽ならかなり広いのである程度は他の魚との混泳も可能ですので無理のない範囲で自分の好きな魚、サンゴを追加してサンゴ礁を再現しましょう。
まとめ
シマヤッコについて長々と書きましたがどうだったでしょうか?
飼育難易度の高いヤッコとされていますが、実際に飼育してみた感じ、評判通りの本当に難しい海水魚だといえます。
筆者は一応、海水飼育歴10年以上の自称中級者ですが、何度か飼育して未だに1年以上飼育ができたことがありません。
飼育が難しいとされる3大ヤッコ(シマ・スミレ・ニシキ)の中ではぶっちぎりで飼育が難しいと筆者は思っています。
とはいえ、この難しさが魅力でもある海水魚でもあるんですよね・・・。手間をかけてやっと粒餌を食べてくれた時の感動は今でも忘れられません。
飼育してみたい!という方は、万全の準備を整えての飼育をしてみてください。
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