4月になり、暖かい日が続くと春の訪れを感じますね。
アクアリウムにおいても、水槽内の水温が上昇し、水槽用のヒーターを外すことも考え出す季節です。
そしてしばらくすると、あっというまに気温はぐんぐん上昇し、アクアリウム、特に海水魚やサンゴを飼育する上で厳しいシーズンとなる夏がやってきます。
この記事ではそんな厳しいシーズンである夏にかかせない、水槽の高水温対策、冷却法、クーラーについてまとめていきます。
夏場のアクアリウム
夏場はアクアリウム、特に海水魚・サンゴ飼育をする私たちにとっては厳しい季節です。
熱帯の海に生息する海水魚は20~30度程度の水温が適正水温であり、日本の真夏に室内に置いた水槽の水温は場合によっては35度を越すこともあります。
また、サンゴは海水魚よりも高水温に弱く、28度を越えたあたりから明らかに調子を崩す種類が多いです。
一般的には海水魚やサンゴに最適な水温は24~26℃程度だとされています。
よって北海道などの夏が非常に涼しい地方で無い限り、夏場にアクアリウムをしようと思うと、高水温対策は必須であるといえます。
水槽の冷却方法
さて、夏場に何かしらの対策が必要ということがわかったところで、その方法についてみていきましょう。
夏場の水槽の高水温対策として考えられる方法は、大きく分けて3つあります。
エアコン
エアコンを回すことで、部屋ごと気温を調整し、水槽の温度を下げようという考え方です。
この方法のメリットとしては、
- 水槽用に特別な器具を購入する必要が無い
- ついでに住んでる私たちも快適になる
- 複数水槽を設置している場合は電気代が安く済む場合がある
などがあります。逆にデメリットとして、
- 気温が高い間常に稼動させる必要があり、非常に電気代がかかる
- 水槽に設置している照明やポンプの数によっては、思ったとおりに水温が下がらない場合がある
といったことが挙げられます。
手軽に水温を下げる方法としてはいいですが、常時稼動が前提なので電気代のことを考えるとあまり現実的とはいえません。
複数(3つ以上?)水槽を設置している方で、かつそのほかの水槽用クーラーなどと併用する場合にはもしかしたらエアコンを回したほうが効率が良い場合もあるかもしれませんが、レアなケースだと思いますので普通にアクアリウムをするならあまり考えなくてもよさそうです。
水槽用ファン
クールファン CF-60
テトラ
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※掲載時の価格です。現在の価格とは異なる場合があります。
アクアリウムにおいて手軽に水温を下げようと思ったら水槽用のファンを使用することが多いです。
小型の扇風機のようなファンで風を水面に当てることで、水槽の水を蒸発させ、その時の気化熱により水温を下げるという仕組みです。
小型の扇風機ということで、値段も非常に手ごろでライトユーザーでも手が出しやすいというのが大きなメリットです。
しかし、デメリットもあり、第一に、以下で紹介するような本格的な水槽用クーラーに比べると大きく冷却能力が劣ることが挙げられます。
30cm程度の水槽ならともかく、60cm以上の水槽となるとファンだけでは水温が下げきれないことがほとんどです。
そして、こちらのほうが重要な問題なのですが、水槽の水を蒸発させるという性質上、海水魚飼育では水槽内の塩分濃度が変化してしまいます。
ファンによって1日に数リットルの水が蒸発することもあり、小型水槽などではこの水の蒸発による塩分濃度の変化が馬鹿になりません。
高水温よりもむしろこちらの塩分濃度の変化が致命傷になることもあります。
冷却能力的には小型水槽で使いたいファンですが、小型水槽で使った場合塩分濃度の変化が大きくあまり適さないというジレンマがあります。
30cm程度の小型水槽での使用かつ、1日に数回の足し水(蒸発した分真水を補充する)がしっかりできるのであれば海水水槽での使用も可能ですが、あまりおすすめできないと言わざるを得ません。
水槽用クーラー
海水魚、特にサンゴ飼育をするのでしたら水槽用クーラーの使用がおすすめです。
この記事では、この水槽用クーラーについてまとめています。
水槽用のクーラーとは、水槽の水をクーラーに循環させ、クーラー内でその水の温度を下げ、水槽に戻すという仕組みのものが一般的です。
水槽用クーラーの中でも、水の温度を下げる方法がいくつかあり、代表的なものがチラー式とペルチェ式です。
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ゼンスイ
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チラー式のクーラーは、水槽用クーラーとしては最も一般的で、また最も性能の良いものです。
基本的に水槽用のクーラーといえばこのチラー式のものを言います。フロンガスを冷媒として水槽水を冷却する、冷蔵庫と同じ方式です。
安定して強力に冷却が行える半面、消費電力が大きい、本体が大きい、排気熱がある、冷却時の音があるなどのデメリットもあります。
ペルチェ式のクーラーは、ペルチェ素子と呼ばれる半導体に電流を流すことで吸熱を行う、小型のワインセラーなどで利用されている冷却方式を採用しています。
ペルチェ式クーラーの特徴として、非常に静かな運転音ということが挙げられます。
ただし冷却能力は控えめで、ファンと同等かすこし上程度しかなく、消費電力もそこそこあるのでチラー式に比べて中途半端な性能なので大型の水槽で使われることはまずありません。
どちらの方式の場合でも、クーラー本体に水槽の水を循環させる為に別途ポンプと配管が必要になります。
オーバーフロー水槽なら濾過槽から循環させたり、濾過槽からメイン水槽に送る戻り配管にクーラーを経由させたりします。
水槽用クーラーの電気代
ある程度のサイズの水槽には水槽用クーラーを使うのが良いということがわかりました。
しかし、水槽用クーラーは消費電力が大きく、電気代がかかりそう、ということで大まかに電気代を計算して見ます。
ZR-mini
ゼンスイ
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今回はこちらのZR-miniを60cm水槽(約60リットル)で使用する場合を考えてみます。
ZR-miniは消費電力約150W、対応水量(180リットルまで)には余裕がありますので1日約8時間の運転だとします。
1日あたりの電気代の算出方法は、
消費電力(W) × 1日の運転時間 ÷ 1000 × 電気代単価(1kWあたりの値段)
です。電気代単価は電力会社により変わりますが、今回は1kWあたり25円で計算すると、
150 × 8 ÷ 1000 × 25 = 30
1日あたり約30円なので、1ヶ月では約900円程度かかる計算です。
この900円を安く見るか高く見るかは人によると思いますが、私は非常に安く済んでいると思います。
エアコンを1日、ないし1ヶ月回しっぱなしだといくらかかるかを考えれば、安定した水温を月900円で保てるのはとてもリーズナブルだと思います。
というより、安定して水温を下げる方法が実質チラー式クーラーを使う以外にないので、もうこの費用は海水魚・サンゴを飼育しているのなら必要経費だと割り切って、あまり気にしないようにするのが吉です笑
おすすめの水槽用クーラー
さて、ここまで読んで水槽用クーラーを導入する覚悟はできましたか?
ここからは筆者のおすすめの水槽用クーラーを紹介していきます。
水槽用クーラーはファンに比べて初期コストは非常に高いですが、長く使用できるものですし、上手に海水魚・サンゴを飼うのに実質不可欠なものですので、妥協せず評価の高いものを選ぶようにしたほうが後々後悔が少ないです。
また、対応水量ぎりぎりのものを選ぶと稼働時間が長くなり、かえって効率が悪くなったりしますので、水槽のサイズアップのことも考え、1または2ランク程度上のものを買っておくとこちらも後々後悔が少ないです。
大は小をかねるの気持ちで、余裕のあるものを購入し、何度も買い直しをすることのないようにしましょう(3敗)
クールウェイ BK210
クールウェイ BK210
GEX
参考価格:¥77,760※
charm:¥32,500※amazon:¥32,400※
※掲載時の価格です。現在の価格とは異なる場合があります。
信頼と安心のGEX製品から、小型水槽に人気のクールウェイシリーズです。
10年くらい前に筆者がはじめて購入した水槽用クーラーもこのクールウェイシリーズでした。
昔は白の筐体しかありませんでしたが、今はブラックがあるんですね。かっこいいです。
性能としては60cm水槽~60cmワイド水槽あたりにおすすめできるスペックです。
もうワンランク下のBK-110 もありますが、値段も1000円程度しか違わないので設置スペースさえ許せばこちらを買うべきですね。
このランクのクーラーではコスパが良く、コスパ重視の方にもおすすめできます。
ZR-mini
ZR-mini
ゼンスイ
参考価格:¥69,120※
charm:¥39,600※amazon:¥39,600※
※掲載時の価格です。現在の価格とは異なる場合があります。
この記事では3度目の登場ですね笑
水槽用クーラーでは最も有名であろうゼンスイさんの小型水槽用モデルです。
スペック的には60cm水槽におすすめです。
ゼンスイさんの水槽用クーラーは丈夫で品質が良いことで定評があり、オーバーホールなどのアフターケアにもしっかり対応しているので、良い物を長く使いたいという人に非常におすすめできます。
ZR-miniはフォルムも可愛く、部屋置きでもあまり違和感なく置けるのではないでしょうか。
ZR-130E
ZR-130E
ゼンスイ
参考価格:¥96,120※
charm:¥59,590※amazon:¥59,088※
※掲載時の価格です。現在の価格とは異なる場合があります。
こちらもゼンスイさんから90cm水槽におすすめのモデルです。
やはり水槽用クーラーはゼンスイというくらい使用者が多く、ネットでもレビューが多く出てきます。
このモデルが筆者が現在90cm水槽で使っているもので、もう5年近くになりますがまだまだ現役で働いてくれています。
排気熱と音が少し気になるかもですが、自分はベランダに出して使用しているので全く問題無しです。
というかこのあたりのクラスのクーラーからはどれも室内に置けるレベルの排気熱じゃない気がします笑
効率や騒音のことを考えると水槽用クーラーは室外運用が間違いなくおすすめです。
ZC-1300α
ZC-1300α
ゼンスイ
参考価格:¥-※
charm:¥153,250※amazon:¥153,250※
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またまたゼンスイから、室内モデルとしては最上級モデルであるZC-1300αです。
先程紹介したZRとは違うラインのZCモデルですが、調べてみたところZRは中国製でZCは韓国製のようです。
個人的には電化製品は韓国製の方が信頼度は高いのでそういうことを気にする方はZCシリーズがおすすめです。
スペック的にもZCシリーズはZRシリーズに比べて消費電力あたりの冷却能力が高く、より効率が良い機種となっています。
このZC1300αは、冷却能力が1kWを超える化け物クーラーで、120cmクラスの水槽にメタハラを複数炊いても余裕のあるレベルの冷却能力です。
主にミドリイシなどの強い照明を要求するサンゴを飼育しているハイエンドユーザーさんが好んで使用している印象があります。
120cm以上の水槽で飼育をする予定があるのなら候補に入れるべきクーラーです。
まとめ
海水魚、特にサンゴを飼育するのであれば水槽用のクーラーは必須なものだと考えています。
一時的に温度を下げるだけならファンやエアコン、氷などで対応できますが、上手に飼育するコツとして、何事もできる限り変化を少なくするということを気にするべきです。
水温についても同じで、安定して変化の少ない温度を保つことで魚の調子も一定に保たれるということです。
下手をすれば飼育器具の中で一番高くなってしまうクーラーですが、これがあるとないとでは飼育難易度がかなり変わってきますので、是非スペックに余裕のある機種を購入し、魚たちに快適な夏を過ごしてもらいましょう。