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【白点病対策】海水水槽における殺菌灯の効果とは

殺菌灯のススメ_サムネイル

殺菌灯はアクアリウムの中でも主に海水魚を飼育する場合に使用される飼育用品です。

白点病など、海水魚の病気対策を目的に使用されることがあります。

この記事では殺菌灯の仕組みと効果、おすすめの殺菌灯について解説していきます。

殺菌灯とは

殺菌灯は、その名の通り殺菌力を持つ紫外線を照射する灯具のことをいいます。

アクアリウムにおける殺菌灯は、飼育水に強力な紫外線を照射することで細菌や藻類、寄生虫などを殺し、また有機物を分解します。

殺菌灯の効果のイラスト

殺菌灯が発生させる紫外線は非常に強力であり、あらゆる生物にとって有害なので、直接水槽を照らしてしまうと海水魚やサンゴ、鑑賞する飼育者に害を与えてしまいます。

そこでアクアリウム用の殺菌灯は、ポンプで密閉容器(殺菌灯本体)に飼育水を循環させ、その容器内部で紫外線を照射しています。

この仕組みにより、飼育している生体に影響を与えず飼育水のみを殺菌することができます。

殺菌灯の効果

海水水槽で殺菌灯を使用すると、大きく3つの効果を得ることが出来ます。

「病気の予防」「コケ予防」「水質改善」の3つです。

それぞれ詳しく解説していきます。

病気の予防

殺菌灯はその名の通り、強力な紫外線を照射することにより飼育水中の細菌や寄生虫を殺すことができます。

海水魚の病気のもとになる飼育水中の細菌・寄生虫を減らすことで病気の予防に繋がります。

カクレクマノミ

健康で肌つやの良いカクレクマノミ

殺菌灯の発するUV-Cと呼ばれる紫外線は非常に強力な殺菌効果があり、使用9時間後に99%以上の殺菌効果があったというデータもあります。

(参考:ターボツイスト

 

筆者も海水魚の病気予防に殺菌灯をずっと使用しています。

ある時水槽内で急に白点病が蔓延したとき、原因を探したら殺菌灯の球が切れていたということがありました。

この時、殺菌灯って本当に病気の予防になっていたんだなぁと強く感じ、以来殺菌灯信者となりました。

 

殺菌灯の病気予防効果については賛否両論あり、ベテランの方でも「殺菌灯なんて意味が無い」という意見を持つ方が一定数いるのも確かです。

(参考:Twitterによるアンケート)

 

筆者は先の経験から、殺菌灯には病気の予防効果が確実にあると考えていて、殺菌灯は海水魚飼育に必須レベルの機材であると考えています。

コケ予防

殺菌灯は細菌だけでなく、藻類(コケ)も強力に死滅させます。

飼育水中の藻類やコケの胞子を殺すことによりコケの増殖を予防します。

ガラス苔

ガラス面に生えたコケ

ただし、既に生えてしまっているコケには効果がありません。

(水槽内のコケに直接紫外線が当たるわけではないので)

また、あくまで予防ですので完全にコケを生えなくさせるほどの効果があるわけではありません。

殺菌の副次的な効果として、コケの発生スピードが遅くなる程度に考えておきましょう。

水質改善

殺菌灯には有機物を分解する効果もあります。

残り餌や魚の糞といった有機物は蓄積すると水質に悪影響を与えるので、こういった有機物を殺菌灯で分解することで水質の改善に繋がります。

また、黄ばみや濁りの原因となる有機物を分解することで飼育水をクリアにする効果もあります。

ミドリイシ水槽の水面

クリアーな海水に

このように、殺菌灯にはその名前からは想像しにくい水質改善の効果もあります。

ただしやはりこの水質改善の効果もあくまで副次的なものと考え、メインのろ過機能(フィルターやプロテインスキマー)は別に用意する必要があります。

殺菌灯の設置方法

先ほども述べた通り、殺菌灯で直接水槽を照らすわけにはいきません。

そこで、アクアリウム用の殺菌灯は基本的に外部ろ過と同様に水槽から飼育水をポンプで取り込み、循環させた外部装置内で照射を行います。

 

外部式フィルターを使用している場合はフィルターからの排水に接続することもできます。

ただし外部フィルターの流量が落ち、ろ過能力が低下してしまったり外部フィルターのポンプに過度な負荷がかかるので推奨はしません。

殺菌灯(外部フィルタ接続)

一般的な設置方法は、循環ポンプを使用した設置方法です。

水槽内に循環ポンプを設置し、殺菌灯を接続します。

オーバーフロー水槽の場合は、濾過槽に循環ポンプを設置します。

ポンプ接続

この方法のメリットとしては、殺菌灯に合った流量の循環ポンプを選ぶことで、殺菌灯の性能を最大限発揮できることが挙げられます。

殺菌灯は循環する飼育水の流量が少なすぎても多すぎても能力が大きく低下してしまいます。

適切な流量の飼育水を殺菌灯に送ることができるので、基本的に殺菌灯はこの方法での設置が推奨されます。

この接続方法をする場合、殺菌灯のあとにクーラーを設置する場合もあります。

クーラーと殺菌灯はどちらも循環ポンプを必要とし、両者の最適な循環水量が近いので直列接続することで1つの循環ポンプで済みます。

ただしこの場合抵抗が大きくなるので循環ポンプを1ランク上の流量のものにしましょう。

殺菌灯を使用する際の注意点

ここまでは殺菌灯のメリットについて述べてきましたので、ここからはデメリット・注意点について述べていきます。

まず、殺菌灯が発生させる紫外線はあらゆる生物にとって有害であることを忘れないようにしましょう。

害のある細菌や寄生虫、コケのもとを殺してくれるのと同時に有益なバクテリアなども少なからず殺してしまっています。

これは殺菌灯を使用する上で防ぎようのないことです。

 

しかし、濾過バクテリアのほとんどはライブロックや底砂、ろ材に定着しているので、これらの定着しているバクテリアに対し殺菌灯は無害なので、殺菌灯を使用することで濾過システムが崩壊するということはあり得ません。

水槽の立ち上げ直後や、バクテリア剤を添加した後数日など、バクテリアをライブロックや底砂に定着させる必要のある期間は殺菌灯を停止するなどの対応が必要です。

※炭素源を使用したBPシステムでは殺菌灯の使用を非推奨しているものもあるので添加剤の説明書を確認しましょう。

 

また、水槽内の生物はもちろん、飼育者である私たち人間にとっても殺菌灯の発する紫外線は有害です。

UV管交換の際などは電源を切った状態で行い、絶対に紫外線を直視しないようにしましょう。

 

また、殺菌灯はUVという強力な光を照射するため、どうしても水温を若干上昇させてしまいます。

夏場の温度管理には注意するようにしましょう。

クーラーと連結して接続する際には殺菌灯をクーラーの前に接続します。

 

殺菌灯を使用する際はこれらのことに注意して使用しましょう。

おすすめの殺菌灯

海水水槽におすすめの殺菌灯をリストアップします。

殺菌灯は消費電力(=搭載しているUV管の消費電力)が大きければ大きいほど紫外線出力が大きくなり性能も上がります。

ただしその分水温を上昇させたり、必要な循環流量が多くなったりしますので、一概に出力が高ければ高いほど良いというものでもありません。

ご自身の水槽で設置できる循環用ポンプの流量に合った製品を選びましょう。

ターボツイストZ

カミハタ ターボツイスト Z 18W
カミハタ

殺菌灯といえばこの製品が最も有名かつ普及しているのではないでしょうか?

特殊な内部構造により循環水がスパイラル状にUV管を通過するので飼育水に対してUVをムラなく効率的に照射することができます。

ターボツイストの素晴らしい点は価格と性能のバランスが非常に優れている点です。

9W、18W、36Wと水槽サイズ別に3種類の製品がありますが、特に18Wと36Wタイプは非常に高い性能の割に値段が抑えられていてコストパフォーマンスに優れています。

また、交換用UV管も他社製品と比較し低価格なところも嬉しいポイントです。

無印のターボツイストから長い実績を持つ点も安心して使用でき、殺菌灯ならとりあえずこれを選んでおけば間違いないと言える製品です。

(筆者も10年以上愛用している製品になります。)

~60cm 60〜90cm 90cm〜
9W 18W 36W

 

テトラUV殺菌灯

テトラ (Tetra) UV殺菌灯60 (30~90cm水槽用)コケ 病原菌 淡水 海水
Tetra

ろ過フィルターで有名なテトラ社が発売する殺菌灯です。

7Wタイプと11Wタイプのラインナップです。

テトラの製品らしく、ライトユーザー向けのスペックと値段になっているため、

初めて殺菌灯を使う方や小型水槽ユーザーにおすすめの殺菌灯です。

カートリッジ(UVランプ含む本体)交換式なので他社製品に比べてランニングコストが高い点には注意しましょう。

~60cm 60cm〜
7W 11W

 

エーハイム リーフレックス

エーハイム リーフレックスシリーズは、アクアリウム用外部フィルターでおなじみエーハイム社製の殺菌灯シリーズです。

リーフレックスシリーズの強みとしては、水槽サイズに合わせた複数のサイズ展開があることと、

各種エーハイム外部フィルターおよび各種エーハイムポンプとの対応がされていることですね。

殺菌灯は、そのUV出力に合わせた適切な循環水量で使用しないと、効果が著しく低下してしまうので、意外とシビアな流量調整が必要となる機器です。

エーハイムリフレックスは、適切な循環流量を確保できるフィルターおよびポンプとの対応表を明記しているので、

ユーザーとしてはどの機器に接続すればよいのかが一目瞭然なところが嬉しいです。

また、ホースの接続部分が360°回転する点も特徴で、狭いキャビネット内での配管が非常に楽になります。

上記理由から、既にエーハイムフィルターもしくはエーハイムポンプを利用している水槽に殺菌灯を追加したいという場合におすすめな殺菌灯であるといえます。

〜45cm 〜60cm 〜60cm(wide) 〜90cm
7W 9W 11W 18W

 

UVバズーカ

UVバズーカはアクアリウム用の殺菌灯の中では比較的新しい製品です。

クーラーなどのアクアリウム用品で有名なゼンスイさんの製品なので品質は確かなものでしょう。

13Wという出力にも関わらず、1万円台前半という価格はコスパお化けです笑

60cm水槽程度の小型〜中型水槽をお持ちの方で、安価な殺菌灯をお探しの方にとてもおすすめな製品です。

唯一、UV管の寿命が5000時間と、一般的なUV管(約8000時間)に比べ短寿命なのが気になりますが、

交換用UV管も他社製品に比べ非常に安価で売られているのでランニングコストが悪すぎるという程ではありませんね。

60cm~
13W

 

アズー UVステライザー

アズーUVステライザーは、水中方式を採用している殺菌灯です。

本製品はポンプ一体型なので、他の多くの殺菌灯で必要となる循環用ポンプの用意や分岐配管の必要が無く、

また水中方式という性質上、水漏れのリスクも無く、お手軽簡単に殺菌灯の使用を始められる素晴らしい製品です。

主に60cm水槽までの小型〜中型水槽ユーザーにおすすめの製品となっています。

また、ポンプ付きにも関わらずお手軽価格を実現しており、この点においてもライトユーザーに嬉しい製品となっています。

欠点としては、水中方式(=水槽内に設置)なのでどうしても水槽内で目立ってしまうという点が挙げられます。

ライブロックなどのレイアウト素材でうまく隠すのをおすすめします!

〜60cm
9W

 

まとめ

殺菌灯の効果や使い方について知ることはできましたでしょうか。

殺菌灯は海水水槽に使用される機器としてはオプション的な扱いをされることが多いですが、筆者は海水魚水槽において必ず使用すべき機器だと考えています。

病気の予防はもちろん、コケの予防、水質改善の副次的な効果を考えると数Wの電力消費としては破格の効果があると考えています。

海水魚がすぐに病気にかかる、コケの生えるスピードが速い、水がなんだか濁っている、

このようなことを感じている方はぜひ殺菌灯の導入を検討してみてください。

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