マリンアクアリウム、海水魚やサンゴの飼育にはオーバーフロー水槽という水槽が使われることがあります。
このオーバーフロー水槽とはどのような仕組みの水槽か、どのような特徴があるのか、この記事では海水魚飼育、サンゴ飼育に使用されるオーバーフロー水槽について解説していきます。
オーバーフロー水槽とは?その構造と仕組み
オーバーフロー水槽は、海水魚飼育やサンゴ飼育によく使用される水槽です。オーバーフロー式水槽とも呼ばれます。
特徴としては、実際に生体を飼育するメインタンクとなる水槽とは別に、ろ過装置やその他周辺機材を内蔵したサブタンク(ろ過槽)をメインタンクよりも低い位置に設置するところです。
サブタンクにはろ材、吸着剤、プロテインスキマーといった様々なろ過設備を設置することができるようになっています。
そしてこのサブタンク内でろ過された海水はポンプによってメインタンクにくみ上げられ、その分メインタンクで溢れた海水がオーバーフロー管と呼ばれるパイプを通じてろ過槽へと流れていきます。
こういった「メインタンク→ろ過槽→メインタンク→・・・」という循環がオーバーフロー水槽のろ過の仕組みです。
オーバーフロー水槽の特徴と様々なメリット
オーバーフロー水槽の特徴として、大容量のろ過槽(サンプ水槽)を持つことにより拡張性がとても高いことが挙げられます。
具体的には以下のようなメリットがあります。
大容量のろ材を入れることができる
ろ過槽に水槽を使うので通常の外部式フィルターに比べてかなり多くのろ材を入れることができます。
たくさんの海水魚を飼育する場合、ろ材を多く入れることが出来るのは大きなアドバンテージとなります。
大量の酸素を取り込むことができる
オーバーフロー水槽はその構造から、メイン水槽からろ過槽へ海水が空気を巻き込みながら落ちるので、その際に海水に多くの酸素を取り込むことができます。
海水は淡水に比べ酸素が溶け込みにくいということもあり、通常の密閉式フィルターを用いたろ過では酸素が不足しがちになってしまいがちです。
オーバーフロー水槽ではそういったことが起こりにくく、大容量のろ材を最大限効率的に利用することができます。
大型のプロテインスキマーを設置できる
プロテインスキマーという、泡の力で汚れを強力に除去するろ過装置を設置する事ができます。
小型のプロテインスキマーでしたらオーバーフロー水槽以外でも使用できるものはありますが、サンゴ水槽などで使用されるような高性能のプロテインスキマーは基本的にはオーバーフロー水槽とセットで使用するものだと考えてください。
ヒーターやクーラーの循環ポンプなどを隠す事ができる
ヒーターやクーラーの循環ポンプなど、メインタンクに入れると目立ってしまうようなものをろ過槽に入れることができるのでメインタンク内がすっきりとします。
また、外部フィルターの配管等も設置する必要がないので水槽上部、水槽周りがとてもコンパクトに収まります。
各種リアクターなどの周辺機材を設置できる
特にサンゴ飼育をする場合に使われる、カルシウムリアクターやバイオペレットリアクターなどを設置する事ができます。
プロテインスキマーと同じく小型のものでしたらオーバーフロー水槽以外でも使用できる外部式のリアクターもありますが、本格的なサンゴ水槽で使用されるリアクターは基本的にオーバーフロー水槽とセットで使用するものだと考えてください。
以上のようにオーバーフロー水槽には様々なメリットがあります。
特に大型のプロテインスキマーやリアクターの設置は一部のサンゴの飼育では必須と言ってもいいので、このようなサンゴの飼育をする場合にはオーバーフロー水槽を選ぶべきだといえます。
オーバーフロー水槽のデメリット
さて、ここまではオーバーフロー水槽のメリットについて解説しました。
ですが、もちろんオーバーフロー水槽にもデメリットはあります。
- 落水音が気になる
上から下に水が落ちるという構造上、どうしても落水音が出てしまいます。
工夫次第で気にならない程度までは抑える事ができるのですが、完全に消す事は難しいかもしれません。
寝室に設置する場合など、あまり煩いと支障が出る場合などは事前にどの程度の落水音なのか、ショップなどでチェックしておきましょう。
- 通常の水槽に比べて高価
オーバーフロー水槽は、水槽に専用の工具で穴を開けそこにパイプを通しコーキングし・・・と普通の水槽に比べて生産に手間が掛かるため普通の水槽に比べて高価になってしまいます。
また、ろ過槽や配管、専用の水槽台などがセットになっている場合は更に値段も上がってしまいます。
目安としてはフルセット(メインタンク、ろ過槽、キャビネット、配管)だと60cm水槽で3万円~、90cm水槽で8万円~が目安となります。
海水飼育初心者が手を出すには躊躇してしまう金額かもしれませんが、それだけのメリットはありますし、拡張性もありますので無理をしてでも買う価値はあります。
本格的に飼育を始めたい人や後悔しない買い物をしたい人などははじめからオーバーフロー水槽を買うのが賢い選択だと思います。
もちろん通常の水槽でも海水魚やサンゴの飼育は可能ですので、予算と飼育プランに応じた選択をしましょう。
オススメのオーバーフロー水槽
オーバーフロー水槽がどういったものなのか知ることができましたか?
ここからは筆者オススメのオーバーフロー水槽を紹介します。
オーバーフロー水槽購入の参考にしてみてください。
クロミス60 4点セット
クロミス60 4点セット
Leaf Corp
参考価格:¥-※
charm:¥38,500※amazon:¥-※
※掲載時の価格です。現在の価格とは異なる場合があります。
60cm規格水槽ベースのオーバーフロー水槽セットです。
メインタンク、ろ過槽、専用木製水槽台、ウールボックスがセットに含まれています。あとはこのセットにポンプとホースを別途購入すれば稼動が可能です。
この水槽の魅力としては何といってもその価格です。
60cmのオーバーフロー水槽セットが3万円台で購入できるのはチャームではこの水槽のみです。
価格が安い分、水槽台が木製ラックタイプだったりと妥協点もありますが、この価格にしてはアクリル製オーバーフローパイプ、2槽式ろ過槽、ウールボックス付属と、初心者が初めて扱うオーバーフロー水槽としては十分な機能を備えています。
とにかく安いオーバーフロー水槽が欲しい人や、とりあえず試しに小型のオーバーフロー水槽を買ってみたいという人にとてもオススメなオーバーフロー水槽と言えます。
ちなみに筆者もこのセットとほぼ同じ内容のオーバーフロー水槽セットを使用したことがありますが、海水魚飼育はもちろんサンゴ飼育、中でも最も飼育難易度の高いサンゴと言われるミドリイシまでもを飼育することができましたので、周辺機材にもよりますが、この水槽でとりあえずほとんどの海水生体を飼う事ができると言ってもいいでしょう。
REEFER 170
REEFER 170
RedSea
参考価格:¥-※
charm:¥143,640※amazon:¥-※
※掲載時の価格です。現在の価格とは異なる場合があります。
RedSea社から最近発売されたハイエンドユーザー向け本格オーバーフロー水槽セットです。
60cm×50cm×50cmという大容量の水槽は10mmスーパークリアガラスを採用してこのサイズの水槽の中ではトップクラスの高級志向です。
オーバーフロー方式の水槽の中では珍しい(現在日本で販売されているオーバーフロー水槽では唯一?)背面オーバーフローボックス仕様の水槽で、水槽内がとてもすっきりしています。
キャビネットはメラミン化粧版使用の耐海水仕様で高級感があります。
その他調節式ダウンフローシステムを備えておりオーバーフロー水槽とは思えない静かな水槽だったり、フィルターバック(ゴミ取り)機能や自動給水機能付属の多機能ろ過槽が付属したりと隅から隅まで高級志向の一切妥協のないオーバーフロー水槽セットだと言えます。
筆者はこれと同じタイプのもうひとつ上のサイズ(REEFER250)を所持していますが、本当に一切妥協のない理想のオーバーフロー水槽だと感じています。
特に調節式ダウンフローシステムは本当に水が循環しているのか疑ってしまうくらい静かな落水音で、この機能だけでも買う価値があると思います。
ハイスペック、ハイクオリティな分、結構なお値段もしますがそれに見合った完成度があり予算が許すのでしたら是非購入して頂きたいオーバーフロー水槽セットです。
REEFER NANO
REEFER NANO
RedSea
参考価格:¥-※
charm:¥118,800※amazon:¥-※
※掲載時の価格です。現在の価格とは異なる場合があります。
上記REEFER 170のひとつ下のサイズのRREFER NANOです。
NANO(ナノ)とは言っても45cm×45cm×45cmのキューブ型水槽で、総水量は100Lあります。
小型になったからといって妥協はなく、REEFER170と同等の機能を備えています。
REEFER170は大きすぎるかな、という人にオススメの水槽といえます。
オルカT90フルセット
ORCA-T 90フルセット
MMC
参考価格:¥162,000※
charm:¥114,600※amazon:¥-※
※掲載時の価格です。現在の価格とは異なる場合があります。
MMCから発売されているオルカシリーズの90cmタイプです。
この水槽の特徴としては、フランジが標準装備な点です。
フランジとは水槽上部に取り付けられたガラスの帯で、これのおかげで揺れによる水漏れを防いだり、魚の飛び出しを防いだり出来ます。
また、黒色オーバーフローパイプで水槽内がすっきりとした印象となります。
フランジが標準装備のオーバーフロー水槽は数少ないので、フランジを求める方はオルカシリーズが選択肢に入ってくると思います。
サイズは90cmの他にも60cm、45cmと展開しているので自分の必要としているサイズを選ぶことが出来ます。
まとめ
オーバーフロー水槽の仕組みとメリットについて知ることはできましたか?
海水魚飼育にしろサンゴ飼育にしろ、最終的にはオーバーフロー水槽に行き着くことがほとんどなので最初からオーバーフロー水槽を購入してしまうというのは賢い選択だと言えます。
大きな買い物ですので、安物買いの銭失いにならぬよう事前にしっかりと情報を集めて購入しましょう。
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