スターポリプは美しい蛍光グリーンが特徴的なサンゴです。
また、とても丈夫で飼育が簡単なことから、初心者向けサンゴの代表的存在でもあります。
この記事では、そんなスターポリプの飼育方法から選び方、増やし方、開かない場合の対処などについて解説していきます。
スターポリプとは
スターポリプは、サンゴの中でもソフトコーラルと呼ばれる種類に分類されるサンゴです。
ソフトコーラルは一般的に飼育難易度が低く、初心者向けのサンゴとされます。
スターポリプはその名の通り星のような形をしたポリプが特徴的なサンゴです。
スターポリプの中にはこの触手が極めて長くなるタイプもいて、
このタイプのスターポリプは水流になびくフサフサのポリプが非常に美しく、人気が高いです。
カラーバリエーションとしては、ほとんどの個体が褐色もしくはグリーンの蛍光色を持ちます。
グリーンの蛍光色を持つ個体は人気が高く、値段も褐色の個体に比べると高価になります。
触手が長いタイプで、グリーンの蛍光色が強いスターポリプは「ラーメンスタポ」などと呼ばれ
非常に高価な値段で取引されることもあります。
スターポリプは多くが岩のような形状をしていますが、
スターポリプ本体はこの岩の表面を覆う紫色の部分です。
この紫色の部分は共肉と呼ばれ、ここから緑色のポリプを伸ばします。
また、スターポリプの本体ともいえる共肉が紫色であるため、
スターポリプは和名でムラサキハナヅタと呼ばれます。
スターポリプの飼育方法
ここからは、スターポリプの具体的な飼育方法について解説していきます。
スターポリプは飼育が容易とされるソフトコーラルの中でも、特に飼育難易度が低いサンゴです。
従って、基本的には一般的なソフトコーラルの飼育方法に準じた飼育で問題ないです。
ソフトコーラルの飼育方法については以下の記事で詳しく解説しています。
以下スターポリプの飼育で特に気を付けるべき点を解説していきます。
水質
スターポリプは水質悪化に非常に強いサンゴですので、
水質の許容範囲はかなり広めです。
光や水流といった他の条件が整っていれば、海水魚を飼育している水槽にそのまま入れても飼育が可能なことが多いです。
とはいえ、サンゴはサンゴですので、出来る限り清浄な海水で飼育してあげることが望ましいです。
具体的な目安としては硝酸塩の値が10~20ppm程度を上回らないようにしたいです。
硝酸塩の値の測定には以下の専用の試薬を使います。
もし硝酸塩の値が20ppmを上回るようであれば、水替えの量を減らすなどして対応します。
清浄な海水で飼育したスターポリプはポリプの開きが良く、また成長速度も非常に速くなります。
定期的な水換えを欠かさないことや、ベルリンシステム式ろ過での飼育がスターポリプを健康に飼育するためのコツであるといえます。
照明
照明については、日中と夜の区別がつく程度の最低限の明るさがあれば飼育が可能です。
特にサンゴ飼育用の照明でなくても飼育が可能なことが多く、
逆にメタハラやシステムLEDといった強光下でも良くポリプを開き、許容範囲はかなり広いと言えます。
もちろん強めの照明の方がポリプの開き、成長速度共に良くなります。
スターポリプに関してはメタハラ直下でもない限り照明が強すぎるということはありませんので、
出来る限り明るい場所に置いてあげましょう。
また、グリーンの蛍光色を持つスターポリプは、ブルーの照明下で非常に美しい蛍光色が見られますので、
ブルー系の照明を使用することを推奨します。
特に最近では主流となってきたUV(紫外線)を含むLEDを使用することで
グリーンの蛍光色を更に際立たせることができます。
逆に言うと、こういったブルー、UVを含む照明を使用しないと、
グリーンの蛍光色はどんどん衰退していってしまいますので、
スターポリプ本来の美しさを維持するという意味でも、こういった照明は必須であると言えます。
水流
特に長い触手を持つタイプのスターポリプはある程度の水流を必要とします。
とはいえ、そこまで強力な水流が必要なわけではないので基本的にはフィルターからの水流で十分なことが多いです。
共肉の上にゴミやデトリタスが溜まるようだと水流不足の可能性がありますので、
置き場所を変えたり水流ポンプの設置をするなどして適度な水流がスターポリプに当たるようにしましょう。
ポリプがランダムに水流にたなびく程度が理想的な水流だと言えます。
餌
スターポリプは給餌の必要性はありません。
定期的な水換えをしていればそれだけで長期的な飼育が可能です。
もし餌を与える場合、液体タイプのサンゴフードが適していますが、水質への影響を考えると
餌を与えるメリットよりもデメリットの方が大きいためあまりおすすめはしません。
以上を踏まえてスターポリプの飼育方法についてまとめると以下の表のようになります。
項目 | 要求度 | 備考 |
水質 | ★☆☆☆☆ | 通常ろ過でも飼育可 |
照明 | ★★☆☆☆ | 青系照明推奨。UV入りだとベター。 |
水流 | ★★☆☆☆ | フィルターの水流で十分 |
餌 | ★☆☆☆☆ | 不要 |
スターポリプが開かない場合の対処法
スターポリプは丈夫で飼育が簡単なサンゴではありますが、
ひょんなことから急にポリプが開かなくなってしまうことがあります。
原因については様々な理由が考えられますが、一般的によくある原因は以下となります。
・新しい環境に慣れていない
・水質が悪化している
・水流が不足している
・光が不足している
・魚やウミウシなどによって食害されている
ショップで購入時に開いていたのに、自宅の水槽では開かないという場合は
まだ自宅水槽の環境に慣れていないだけの可能性もありますので
この場合は1週間程度は様子を見てみましょう。
1週間程度様子を見ても相変わらず開かない場合や
今まで開いていたのに急に開かなくなった場合は
上記の原因に心当たりがないかチェックしてみましょう。
スターポリプの選び方
スターポリプをショップや通販で購入する際のポイントについて説明します。
スターポリプを購入する際に気を付けるべきことは、
「ポリプが全て完全に開いている個体を選ぶ」ということです。
スターポリプは丈夫なサンゴですので、入荷直後でもない限り、
ポリプが開いていないというのはすなわち状態が悪いということを意味します。
また部分的にポリプが開いていたり、開いてはいるけど開きかけだったりといった個体も
何か問題があることが考えられますので購入は避けるべきです。
スターポリプを購入する際は、ポリプが満開で元気のよさそうな個体を購入しましょう。
また、スターポリプには時々、スターポリプを食べてしまうウミウシが付着していることがあります。
このウミウシは小さく、なかなか見つけにくい上に、勝手に増えていきますので非常に厄介な存在です。
ポリプが開いている状態でこのウミウシを見つけることは至難の業ですが、
もし発見した場合、こういった個体は購入しないか購入後にサンゴ用のトリートメント薬剤を使用して除去しましょう。
ウミウシを見つけることができなかった場合でも予防のためにトリートメントはしておくことをおすすめします。
スターポリプの増やし方
スターポリプは成長速度が速く、比較的簡単に増やすことができます。
スターポリプは岩や砂伝いに増えていきますので、
この性質を利用してある程度自由に増殖をさせることが可能です。
スターポリプを岩伝いに増やしたい場合は、
増やしたい場所にスターポリプの共肉部(紫色の部分)を接触させ、その接触部によく光が当たるようにすれば良いです。
あとは勝手に成長して岩伝いに領土を拡大していくので気長に待ちましょう。
成長が速い水槽だと握りこぶし大くらいのライブロックなら半年~1年弱くらいでスターポリプに埋め尽くされます。
また、砂伝いにも増やすことができ、この場合は砂地に直接スターポリプを置くことで増殖させることができます。
岩伝いに増殖させる場合と違って、
共肉だけが広がっていくので好きなところで簡単にカットできるのが特徴です。
こうしてカットしたスターポリプは岩やフラグに貼り付けることでそこに定着しそこからまた増えていきます。
また理由は不明ですが砂伝いに増やした場合の方が成長スピードが速い気がします。
従って早いペースでいろいろな場所にスターポリプを増やしたいという場合は砂伝いに増やすのがおすすめです。
ただし砂地に置く場合は水流などで砂が共肉に被ってしまわないように注意が必要です。
まとめ
スターポリプの飼育方法について知ることができましたでしょうか。
スターポリプは初心者向けのサンゴとはいえ、非常に美しく、上級者の方にも強い人気があるサンゴです。
また、増やすのも比較的簡単で、サンゴを増やす楽しみを知るという意味でも初心者の方におすすめできます。
飼育は本当に簡単なサンゴですので、サンゴの飼育が初めての方も
まだスターポリプを飼育したことがない方も是非飼育してみてください。