皆さんがサンゴと言われて想像するものは何ですか?
恐らく多くの方がグレートバリアリーフやモルディブなど熱帯地域の美しいサンゴ礁を想像すると思います。
海中の花畑とも言われるサンゴ礁は言葉に尽くせない美しさがあります。
この美しいサンゴ礁を、自宅で再現することができたら素晴らしいと思いませんか?
実はサンゴって意外と簡単に飼育ができてしまう生き物なのです。
この記事では、サンゴの生態や飼育方法、種類や値段などサンゴという生き物についてイチから説明していきます。
そもそもサンゴって何?
一般にサンゴと言われて想像するのは色の付いた岩や枝のようなものだと思います。
もちろん、この認識は間違ってはいません。
上記画像のような枝状、テーブル状の岩のようなものはミドリイシと呼ばれるサンゴの一種です。
そしてこのミドリイシを含むあらゆるサンゴは岩ではなくれっきとした生き物です。
更に言うならば分類的には刺胞動物門花虫網に属する”動物”です。
あの岩が動物!?と思うかもしれませんが、動物です。
ちなみにサンゴが属する刺胞動物門というのはイソギンチャクやクラゲも属していて、
サンゴはこれらの生物に近い生物といえます。
イソギンチャクやクラゲと同じといわれても全然納得できないと思いますが
ひとまずはそういうものだと思ってください笑
サンゴという生き物について詳しく話をするととても長くなってしまうのでこの記事では割愛します。
とはいえ、サンゴを飼育するにあたってサンゴという生き物について理解を深めるのは非常に重要なことです。
お時間のある方は以下の記事で詳しく説明していますので是非ご覧になってください。
とにかくサンゴを飼育するにあたって絶対に知っておくべきことをまとめると
・サンゴが生き物だということ
・更に言うなら、イソギンチャクやクラゲに似た生き物だということ
・魚を飼育するのと同じように、そのサンゴに合った飼育環境を用意する必要があるということ
以上の3点が非常に重要なポイントです。
そしてこの飼育環境というのがやっかいなもので、飼育したいサンゴの種類によって大きく変わってきます。
そこで、まずはサンゴの種類についての説明をしていきます。
サンゴの種類・分類
サンゴとひとくちに言っても、その種類は非常に多く、
アクアリウム用に流通しているサンゴだけでも100種類以上存在します。
サンゴの種類によって飼育環境が大きく変わり、つまり飼育方法も大きく変わるので
サンゴの飼育方法を説明しようと思うとまずはサンゴの種類を説明する必要があります。
サンゴの種類の分類には多くの方法があるのですが、この記事では飼育難易度に沿った分類をしていきます。
サンゴをグループA、グループB、グループC、グループXの4グループに分けて説明していきます。
グループA(ソフトコーラル)
グループAのサンゴは一般にソフトコーラルと呼ばれるサンゴのグループです。
ソフトコーラルという名前からわかるように、柔らかい体を持つサンゴで構成されています。
見た目、分類共にイソギンチャクにかなり近い種類になりますので、イメージは持ちやすいと思います。
これはウミキノコと呼ばれるグループAに属するサンゴなのですが、
まさにイソギンチャクのような長い触手を持っているのがわかります。
グループAのサンゴの特徴として、サンゴの中では比較的飼育が簡単な種が多いという点が挙げられます。
サンゴの飼育難易度を語る際には光の強さと水質の良さの2点を指標にすることが多いのですが、
グループAのサンゴはこのどちらに関しても要求するレベルが低いです。
従ってグループAのサンゴはサンゴの飼育が初めての方でも失敗しにくい、
初心者向けのサンゴが多いグループだといえます。
代表的なグループAのサンゴ
マメスナギンチャク、イエローポリプ、ディスクコーラル、スターポリプ、ウミキノコ、ウミトサカ、クダサンゴ、ツツウミヅタetc
グループB(ハードコーラル/LPS)
グループBのサンゴは一般にハードコーラル、またはLPSと呼ばれるサンゴのグループです。
ハードコーラルという名前からもわかるように、硬い外骨格を持つサンゴが属しています。
イソギンチャクに近い種類というわけでもなく、サンゴ礁を構成するメインのサンゴであるミドリイシ属というわけでもないので
一般の方にはあまり馴染みのないサンゴが多いグループかもしれません。
しかし趣味のマリンアクアリウムでは人気のあるサンゴが多く属するグループです。
鮮やかな蛍光色を持つサンゴが多く、青色LEDで照らしたLPSは他のサンゴにはない独特な美しさがあります。
グループBのサンゴの飼育難易度としては初心者~中級者向けといえます。
代表的なグループBのサンゴ
キクメイシ、アワサンゴ、ハナガタサンゴ、アザミハナガタサンゴ、オオバナサンゴ、ハナガササンゴ、オオタバサンゴ、クサビライシ、ナガレハナサンゴ、ミズタマサンゴ、スリバチサンゴ、etc
グループC(ハードコーラル/SPS)
グループCのサンゴはハードコーラルの中でもSPSと呼ばれるサンゴのグループです。
一般にサンゴ礁と言われて想像するような枝状やテーブル状のサンゴはその多くがこのSPSに分類されます。
グループCのサンゴは総じて飼育難易度が高く、光の強さや水質などあらゆる要素で最高のレベルを要求します。
サンゴ飼育初心者の方が軽い気持ちで飼育することはまず不可能といってもいいです。
そのためSPSの飼育はサンゴ飼育者の目標であり、SPSで統一されたサンゴ水槽はアクアリストの憧れだといえます。
代表的なグループCのサンゴ
ミドリイシ、トゲミドリイシ、コモンサンゴ、ショウガサンゴ、ハナヤサイサンゴ、トゲサンゴ、ハマサンゴ、etc
グループX(陰日性サンゴ)
グループXのサンゴは他のグループのサンゴとは大きく異なった性質を持つサンゴのグループです。
陰日性サンゴと呼ばれる、海の深い場所に生息するサンゴがこのグループに属します。
他のグループのサンゴが光を主なエネルギー源にするのに対し、
陰日性サンゴはプランクトンなどの捕食をエネルギー源とします。
そのため飼育に関しても光を与えず代わりに餌を与える必要があり、
深海に生息するので水温も低めにする必要があるなど特殊な飼育環境を必要とします。
よって他のグループのサンゴと一緒に飼育することは難しく、サンゴの中でも例外的な存在だといえます。
グループCのサンゴとはまた違ったベクトルで飼育難易度が非常に高く、
サンゴ飼育初心者には全くおすすめできない飼育の難しいグループです。
代表的なグループXのサンゴ
イボヤギ、ウチウラタコアシサンゴ、キサンゴ、ハナタテサンゴ、トゲトサカ、、ウミイチゴ、イソバナ、カリビアンゴルゴニア、etc
サンゴの飼育方法
サンゴの分類について説明したところで、いよいよ具体的なサンゴの飼育方法について説明していきます。
とはいえ、先ほども述べた通りサンゴは種類によって飼育方法が違ってくるので
ご自身の飼育したいサンゴの飼育方法を参照して頂くのが確実です。
しかしまだ飼育したいサンゴが決まっていなかったり、
とりあえずサンゴの飼育がどのようなものなのか知りたいという方もいると思います。
そこで、多くのサンゴに共通する飼育方法を「サンゴ飼育の基礎」として紹介していきたいと思います。
「サンゴ飼育の4大基礎」として、「光環境」「水質」「水流」「餌」が挙げられます。
これらについて、それぞれ詳しく解説していきます。
※グループXの陰日性サンゴに関してはこの「サンゴ飼育の基礎」が当てはまらないことがあるので注意してください。
サンゴ飼育の基礎1 光環境
サンゴと光というのは切っても切れない関係にあります。
というのも、サンゴというのはその代謝エネルギーのほとんどを光合成によって作り出しているからです。
厳密にいうと光合成をしているのはサンゴではなくサンゴが体内に共生させている
褐虫藻という植物プランクトンなのですがこの話をしていると長くなりすぎるので割愛します笑
ともあれ、サンゴは光合成をすることで生きているというのは変わらないので
光合成をするために適度な強さの光が必要だといえます。
この適度な強さというのは飼育するサンゴの種類によって異なるので一概に決めることはできませんが
サンゴは熱帯の海に生息していることを考えるとある程度の明るさが必要なのは間違いないです。
一般に熱帯魚を飼育する用の水槽用照明では明るさが不足してしまうことがほとんどです。
明るさもそうですが、光の構成成分(≒波長)もサンゴに適していない場合があります。
従って、サンゴを飼育する場合はサンゴ飼育用の照明を使用するのが無難であるといえます。
最近ではサンゴの飼育に適した明るさ・波長を備えた省電力なLED照明が登場し
ひと昔前に比べると光環境という観点から見たサンゴ飼育のハードルは大きく下がったといってもいいでしょう。
家庭用の照明と同様、サンゴ飼育の照明も今後はLEDが主流になっていくと思われます。
サンゴ飼育の基礎2 水質
皆さんはサンゴが生息している海と聞くと、温かくて透明度の高い綺麗な海を想像しますよね?
そのイメージの通り、サンゴは良好な水質を必要とします。
水質といっても非常に多くの要素があるのですが
サンゴを飼育する上で考えなくてはいけない水質は「水温」と「栄養塩」です。
「水温」は多くのサンゴで共通して22~28℃くらいが活動できる範囲です。
一般的には25~26℃をキープするようにヒーターもしくはクーラーを使用して温度を管理します。
水温に関しては海水魚を一緒に飼育していれば必然的に条件を満たしているはずですのであまり気にしなくてもいいかもしれません。
「栄養塩」とは「ケイ酸塩」,「リン酸塩」,「硝酸塩」といった
海藻や植物プランクトンの栄養となる物質を総称して言います。
この栄養塩は、サンゴが生息するような豊かな浅い海では
植物プランクトンの働きによって低い値で保たれています。
一方、水槽環境ではプランクトンによる消費が期待できず、
かつ栄養塩の元となる餌を与えるため栄養塩が高い値になってしまいがちです。
特に魚が多い水槽ではこれが顕著で、
自然界ではありえないレベルの栄養塩が蓄積されていることも珍しくありません。
これらの栄養塩は、蓄積しすぎると海水魚やサンゴにとって害となります。
海水魚は栄養塩の蓄積に多少は耐性があるのですぐには問題になりにくいですが、
サンゴは栄養塩の蓄積に非常に敏感なため、こういった富栄養塩環境ではすぐにダメージを受け、死んでしまいます。
従って、サンゴを飼育するには栄養塩の値を低く保つことが必要になってきます。
栄養塩の値を低く保つ方法としては
・水換えをする
・魚の数を減らす
・強力なろ過装置を用いる
・薬品を使って栄養塩を除去する
などの方法があります。
水換えは最も簡単に栄養塩を減らすことのできる方法で、
同時にサンゴに吸収されたミネラル分も補えるので一石二鳥の方法です。
飼育水に蓄積された栄養塩は基本的に定期的な水換えを行うことで除去します。
ただし水換えに使用する水道水に栄養塩が多くては栄養塩を減らすどころか逆に増やしてしまいかねないので、
栄養塩を取り除くことのできるRO/DI浄水器という専用の浄水器を使用することをおすすめします。
RO/DI浄水器は高価ですが確実に効果があるのでサンゴ、特にグループCのサンゴを飼育するなら絶対に持っておきたい機材の一つです。
魚の数を減らす(魚を多く入れない)ことで栄養塩対策を行うこともできます。
魚の数を減らすことで比例して与える餌の量も減り、結果として栄養塩の減少に繋がります。
サンゴの飼育に重点を置く場合、極端な話、海水魚を一切飼育しないという方法もあります。
強力なろ過装置を用いることで栄養塩を減らすのも有効な手段の1つです。
後述するプロテインスキマーと呼ばれる装置を用いることで比較的簡単に栄養塩除去することができます。
どの程度栄養塩を減らせばいいかは飼育するサンゴの種類によります。
グループAのサンゴは特に栄養塩対策をしなくても飼育できるサンゴがいる一方
グループCのサンゴでは栄養塩がほぼ存在しない水質を要求するサンゴが多いです。
グループCのサンゴの飼育が難しいというのは詰まるところ、
栄養塩がほぼ存在しない環境を作り出すのが難しいということに帰着します。
逆に言えば栄養塩さえどうにかすればあらゆるサンゴの飼育のハードルは大きく下がるということです。
海水魚を飼育するときにはあまり気にしなかった栄養塩が、
サンゴを飼育する場合、非常に重要なパラメータとなることは知っておきましょう。
サンゴ飼育の基礎3 水流
サンゴを飼育する際、水流も重要な要素となります。
ほとんどのサンゴは自分で動くことができません。
サンゴにとって必要な栄養は水流に乗って運ばれてきます。
私たち人間も空気がよどんでいたり長い間換気をしないと気分が悪くなりますよね?サンゴも同様で、
水がよどんでいるような状態は好ましくなく、常にサンゴの周りの海水が入れ替わり続けているような状態が理想的だと言えます。
また、水流にはサンゴについた汚れを流してくれる働きもあり、この点でも水流は重要な役割を果たします。
更に水流によって水面を波立てることにより照明からの光が拡散され、
サンゴに当たる光の質を上げることにも繋がります。
このように水流は多くの点でサンゴにとって重要な役割を果たしているといえます。
従ってサンゴを飼育する水槽では適度な水流を発生させることが大切です。
適切な水流の強さは飼育するサンゴによって異なりますが、
多くの場合ろ過フィルターからの排水だけでは不足してしまうので別途専用の水流ポンプを設置するのが一般的です。
サンゴに好まれる水流は太くてランダムな水流なのでこういった水流を発生させる水流ポンプをおすすめします。
おすすめの水流ポンプについては後述します。
サンゴ飼育の基礎4 餌
サンゴはその代謝のほとんどを光合成によって得たエネルギーによってまかなっていますが、
動物ですから、食事をしないわけではありません。
多くのサンゴは自然界では夜間に触手を伸ばし、プランクトンなどを捕食していると言われています。
しかし、この捕食によるエネルギーはサンゴの全代謝エネルギーの1割に満たないとも言われ、
サンゴにとってはあまり重要なエネルギー源ではないともいえます。
水槽環境ではプランクトンの安定供給というのが難しく、
サンゴへの給餌を行う場合は専用の液体フードもしくは粉末フードを使用して行う場合が多いです。
しかし、このフードはその性質上どうしても余分に水槽内に混入してしまい、結果として大きな水質悪化に繋がります。
筆者の個人的な意見なのですが、サンゴへの給餌はそのメリットとデメリットを考えると行う意味はあまり無いように感じます。
餌を全く与えなくても何年も長期飼育できている実績もありますし、
サンゴへの給餌は必ずしも必要という訳ではないというのが私の考えです。
ただし、一部のソフトコーラル、LPSは餌を与えることで明らかに調子が上向く種も多く、
こういった種に限っては給餌が有効だというのも実感しています。
スタンスとしては基本的には給餌は行わず、給餌をしないで問題が起こるようなら給餌をするという方式が無難なのかなと思っています。
特に飼育初心者の方は給餌のメリットよりデメリットのほうが大きくなってしまうことが多いと思いますので
サンゴへの給餌はとりあえず考えなくてもいいと思います。
サンゴ飼育に必要なもの
ここからは具体的にサンゴの飼育に必要なものを紹介していきます。
とはいっても必要なものは基本的に海水魚を飼育するのに必要なものとほとんど変わらないです。
海水魚を飼育する際に必要なものについてまとめた記事がありますのでこちらも併せて読んでおくといいかもしれません。
また、飼育するサンゴが決まっていてより詳しく飼育用品が知りたい方は各グループのサンゴの飼育方法のページを併せて参考にしてください。
水槽
アクアリウムをする上で必要不可欠なアイテムです。
水槽の材質として大きくガラスとアクリルの2種類から選ぶことになりますが、
サンゴ水槽では水槽面に石灰藻という硬いコケが生えますのでスクレーパーでガリガリと落とせるガラス水槽がおすすめです。
サンゴを飼育するのでしたら最低でも30cm水槽以上の水槽がおすすめで、
可能なら60cm水槽以上の水槽で飼育ができると安定感が段違いです。
水槽台
水槽は中身も含めると相当な重量になるので耐荷重に余裕のある専用の水槽台を使用するのがベターです。
特に海水水槽ではサビて脆くなるので金属製のメタルラックなどは絶対に使用しないようにしましょう。
ろ過装置
外部ろ過フィルターとプロテインスキマーと呼ばれるろ過装置のどちらかあるいは両方を使用します。
外部式ろ過フィルターはアクアリウムにおける一般的なろ過装置です。
淡水の熱帯魚水槽や水草水槽ではほとんどの場合こういった外部式ろ過フィルターが使用されます。
ろ過能力が高く、設置も簡単で価格も安価なものが多いため多くのアクアリウムシーンで有用な場合が多いこのタイプのろ過装置ですが
密閉式という構造上どうしても酸素不足になりやすく栄養塩の蓄積も早いため
酸素が多く必要でかつ栄養塩の蓄積を抑えたい海水水槽、特にサンゴ水槽ではメリットよりもデメリットが目立ちます。
プロテインスキマーは海水水槽でのみ使用できるろ過装置で
泡の力で栄養塩の元となる物質を直接除去します。
栄養塩の元となるそもそもの物質を取り除くので栄養塩の蓄積を抑えられ、
かつ大量の酸素を供給することが可能と、サンゴ飼育においてメリットが非常に多いろ過装置です。
外部ろ過フィルターのみの場合は水換えを多めにするか魚の数を減らすかしないとサンゴの飼育は厳しいかもしれません。
酸欠になりがちで栄養塩の蓄積も早く、サンゴ飼育に重点を置くならあまりおすすめできません。
外部フィルターとプロテインスキマーを同時に使用するハイブリッドシステムは安定感があり
魚を多めに入れても大丈夫なことが多いです。
ただし栄養塩の蓄積はそこそこあるので水換えは欠かせず、またグループCのサンゴの飼育はかなり厳しいです。
外部フィルターを使用せず、プロテインスキマーのみを使用するシステムを
ベルリンシステム(またはナチュラルシステム)といいます。
このシステムは魚を多く入れれないという制約はあるものの
栄養塩の除去能力に関しては飛び抜けて優れ、あらゆるサンゴの飼育が可能です。
本格的なサンゴの飼育をしたいのならベルリンシステム一択と言えるほどサンゴ飼育にとって理想的なシステムです。
どのシステムも一長一短ですので、自分の飼育したいサンゴと海水魚に応じてろ過方式を決めましょう。
おすすめはもちろんベルリンシステムですが、海水魚をあまり入れれないという点と高価なプロテインスキマーが必要になるという点がネックです。
照明
サンゴ飼育用のLED照明またはメタルハライドランプを使用します。
LED照明は省電力で明るくアクアリウム用照明として優秀ですが、
サンゴ飼育に関しては家電量販店で売っているようなLED照明は使用できないと考えてください。
というのも、一般的なLED照明は使用しているLED素子が白色のみ、
もしくはそれに毛が生えたようなものしか使われていなく、サンゴの飼育には向かないからです。
サンゴの蛍光色と波長についてはここではとても説明しきれないので割愛しますが、
簡単にいうとサンゴの飼育にはあらゆる波長(色)が含まれたLED照明を使用しないとサンゴの色が落ちてしまいます。
サンゴ飼育用のLEDは一般的な青色LED照明と同じ青色に見えてもその中身は様々な波長が混ざった青色であり、
一般的な青色LED照明が本当に青色の波長しか出していないのとは見た目以上の差があるということです。
最近のサンゴ飼育用LED照明でしたら大体どれも様々な波長を含むLEDですので
あとはパワー(W数)を自分が飼育したいサンゴに合わせて選べば良いです。
システムLEDと呼ばれる、波長や強度をスマホで調整できるLED照明はあらゆるサンゴの飼育に対応できるので
非常に優秀なサンゴ飼育用のLED照明だといえます。
非常に高価な製品が多いですが、予算が許せばシステムLEDを選んでおけばまず間違いありません。
メタルハライドランプ、通称メタハラはテニスコートやナイターの照明にも利用されている、
非常に強力な光を発生させることのできる照明器具です。
アクアリウムにおいても何十年も前から利用されており、
LEDが無い頃はサンゴ飼育ならメタハラ一択だったという話もあります。
とにかく出力が段違いで、かつ波長も太陽光線に近い、
サンゴ飼育に向いているものなので光の質だけ見れば文句なくサンゴ飼育に最適な照明です。
ただし熱効率が恐ろしく悪く、莫大な消費電力と水槽への放熱がネックとなります。
省電力で波長も優れたLEDの台頭により姿を消しつつあります。
しかし性能と実績は折り紙付きですのでランニングコストが我慢できる方でしたら使う価値は十分にあります。
筆者も未だにメタハラメインの飼育をしています。
最近のLED照明も優秀ですが、やはりメタハラの安定感は捨てがたいです。
(2023/10 追記)
ここ数年のアクアリウム用LEDの進化は凄まじく、もはやメタハラは完全に姿を消してしまいました。
旧ユーザーのための交換球などはまだ一部取り扱いがあるようですが
現在新規にサンゴ飼育を始めるなら選択肢は実質LED一択になっているのが実情でしょう。
サンゴは照明が長く当たりすぎた場合でも長く当たらなさすぎた場合どちらも調子を崩してしまいますので、
タイマーを使用して規則正しい時間の点灯・消灯をしましょう。
昔はアクアリウム用のタイマーを使用する場合が多かったですが
最近ではスマートタップが安価に入手でき、スマホ管理できるなど利便性も高いのでおすすめです。
照明の点灯時間は1日8~10時間程度が目安です。
人工海水
海水魚を飼育している方でしたら、普段使用している海水魚用のものをそのまま使用できます。
サンゴ飼育だからといって人工海水を変える必要はあまりありません。
例外的にグループCのSPSサンゴを水槽いっぱいに飼育しているという場合はコーラルプロソルトに代表される
基礎成分(カルシウム、マグネシウム等)が強化配合されたサンゴ飼育用のものを使用したほうが良い場合があります。
ヒーター/クーラー
どちらも水温管理に必要なものです。
特にサンゴ水槽では強力な照明を設置することもあり夏場の水温上昇は思っている以上になることがあるので
クーラーは余裕のある性能のものを選ぶようにしましょう。
水流ポンプ
海水水槽用の、太い水流を発生させることのできる水流ポンプを推奨します。
また、予めプログラムされた水流やランダムな強弱の水流を発生させることのできる
高機能水流ポンプも複雑な水流を好むサンゴの飼育に適しています。
もちろん、こんなに高価な水流ポンプでなくても飼育は可能ですので、
他にどんな水流ポンプがあるのか知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
カルシウムリアクター
カルシウムリアクターは、サンゴが成長する際に消費されるカルシウムなどの成分を補充する装置です。
サンゴを飼育するのに必ず必要というわけではなく、成長の早いサンゴや骨密度の高いサンゴを多く飼育する際に必要となる装置です。
具体的には、グループCのサンゴを飼育する場合にはあったほうが良い装置です。
それ以外の場合は、消費されるカルシウム等のミネラル分は基本的には水換えで十分賄うことができますのでカルシウムリアクターは不要です。
また、グループCのサンゴを飼育する際でも添加剤を使用することで消費されるミネラル分を補う飼育方法もありますので
必ずしもカルシウムリアクターが無ければ飼育ができないというものではありません。
とはいえ、カルシウムリアクターによる自動的なミネラル分の補充は様々なメリットがありますので
グループCのサンゴを飼育する場合で予算に余裕があれば設置を考えるべき機材だといえます。
吸着剤
サンゴ飼育で害となる栄養塩のうち、「リン酸塩」と「ケイ酸塩」は吸着剤による除去が可能です。
リン酸塩は水道水と魚の餌から、ケイ酸塩は水道水から水槽に混入しますので普通に飼育をしていたら蓄積されていく一方です。
リン酸塩とケイ酸塩はサンゴにとって害となるだけではなく、コケや藻類の栄養源になりますので、
これらの栄養塩が多いとコケだらけの水槽になってしまいます。
コケ対策の意味も込めて、これらの栄養塩は吸着剤で除去するべきだといえます。
吸着剤を入れることによるデメリットはほとんどありませんので、
サンゴを飼育していれば吸着剤は絶対に入れておくべきだといえます。
ライブロック/ライブサンド
ライブロック、ライブサンドというのは文字通り生きている岩、砂のことです。
実際の海から採取してきたものや、養殖によって海と同等の環境で熟成された岩や砂を指し、
ろ過バクテリアが多く付着していて、水を綺麗にする働きがあるということです。
ライブロック、ライブサンドを入れることで水質が安定しやすく
また天然の素材なため自然の環境が再現しやすくレイアウト性も高いので入れるメリットは非常に多いです。
サンゴ水槽では、サンゴの置き場所を多く確保できるようにライブロックを組み合わせてひな壇状のレイアウトにすることが多いです。
必要なライブロックの量としては水量÷10[kg]が目安となりますので、
60cm規格水槽(約60L)では約6kg、90cm水槽(約200L)では約20kg程度用意します。
ライブロックは1kgあたり3000円程度で売られていることが多く、ただの岩なのに非常に高く感じるかもしれませんが、
鮮度を保ったまま輸送、維持するコストやろ過能力、レイアウト素材としての観賞価値の高さを考えるとむしろ安いくらいです。
レイアウト素材の岩にウン万円も払うのは納得いかないかもしれませんが、
レイアウト素材兼ろ過フィルターと考え、投資を惜しまないようにしましょう。
ライブサンド(底砂)はサンゴ水槽でも入れない場合がありますが、
見た目や安定性を考えると入れるほうがベターでしょう。
ただし底砂を厚く敷きすぎるとよくないもの(病原菌やろ過のカス)が蓄積されてしまうリスクがありますので
入れる場合は1~2cm程度の薄めに入れるのがおすすめです。
また、パウダー状の砂は水流ポンプに飛ばされてサンゴにかかってしまうリスクがありますので、
できる限りパウダー状の砂は避けるのが無難です。
ただ見た目が良いので筆者はいつもパウダー状の底砂を使ってしまいます笑
ライブロック、ライブサンドについては以下の記事で詳しく解説していますので
海水での飼育が初めての方は読んでおくことをおすすめします。
水質測定試薬
サンゴは海水魚に比べて水質の変化・悪化に弱いため、良好な水質を安定的に保つ必要があります。
そのため、水質を測定し、現在の水槽の状態を把握しておくことは非常に重要になってきます。
サンゴにとって重要な水質項目は非常に多く、その全てを測定するわけにはいきませんので、
最低限「硝酸塩」を、できれば「KH」の測定は定期的に行うべきだといえます。
硝酸塩は、既に述べましたがサンゴにとって害となる栄養塩の1つで、魚の糞や餌が分解されて発生します。
サンゴを飼育するうえで、水質が良好かどうかは普通この「硝酸塩」の数値を指標とします。
グループAのサンゴなら「20ppm以下」、グループBのサンゴなら「10ppm以下」、グループCのサンゴなら「1ppm以下」が健康的に飼育ができる目安です。
硝酸塩濃度を測定し、目標数値以上の値が出てしまった場合は水換え等、硝酸塩対策を行う必要があります。
KHは炭酸塩硬度のことを言い、炭酸塩硬度≒海水中に溶けているカルシウムイオンとマグネシウムの量です。
サンゴが成長する際はカルシウムやマグネシウムを消費しますので、つまりサンゴが成長するとこのKHも下がります。
すなわちKHの値を把握することで水槽内のサンゴの成長度合いを知ることができるということです。
主に成長の早いサンゴやカルシウムを多く消費する骨密度の高いサンゴを飼育する場合に測定すべき項目だといえます。
特にグループCのSPSサンゴはKHの消費速度が他のサンゴとは段違いなので定期的に測定し、
その値を基にカルシウムリアクターや添加剤の調整を行います。
グループAやグループBのサンゴは成長の際にカルシウムをあまり消費しなかったり、
そもそも成長が遅いサンゴが多いのでKHの変動は起きにくく、
消費されたKHは水換えによって賄われるのでそこまでKHを気にする必要はありません。
しかし長期的に見ると微量ながらKH値は減少していきますので
、硝酸塩の値は問題ないのにサンゴの調子が悪いと感じたら測定してみるべき項目だといえます。
サンゴの飼育にはKHは6~7dKHを目安にします。
グループCのサンゴを飼育する場合や、サンゴの成長促進を期待する場合には10dKH前後まで上げることもあります。
KH値が低い場合はカルシウムリアクターの調整、添加剤によるカルシウム・マグネシウムの添加、大量水換えによる水質のリセットなどの対応が必要となります。
その他に測定できる水質項目としては「リン酸塩」「ケイ酸塩」「カルシウム」「マグネシウム」「カリウム」「ヨウ素」など挙げ出せばキリがないですが、
基本的には硝酸塩とKHを測定しておけば大丈夫です。
グループCのサンゴを飼育している場合に限り、余裕があればカルシウム、リン酸塩あたりは測定してもいいかなと思います。
その他小物類
- 水温計
- 比重計
- カルキ抜き
- 水換え用品
サンゴの導入方法
サンゴの飼育方法がわかり、飼育環境も整ったところでいよいよサンゴを導入していきます。
ここからはサンゴの購入方法、サンゴの水槽への導入方法を解説していきます。
サンゴの購入方法
サンゴは直接ショップで購入するか、通販での購入になります。
最近ではネットの普及で多くのショップが通販をしていたり、
ショップでない個人でもオークションや個人サイトでサンゴを販売しています。
通販は簡単に購入できてわざわざショップまで出向く必要が無いので便利ですが、注意すべき点もあります。
まず第一に、通販の写真だけではわからないことが多くあるということです。
通販の写真・説明からは限られた情報しか得ることができません。
特に大きさ、色味、状態などは実際に届いてみて思ったのと違った!と思うことが多いです。
サンゴは生き物ですので、2つと同じ個体は存在せず、それぞれの個体に個性が存在します。
後悔しない買い物をしたいのでしたら、実際にショップに出向いてご自身の目で見て購入するサンゴを選ぶことをおすすめします。
また、サンゴを通販で買う場合は輸送時間が問題となることがあります。
多くのショップでは到着予定日の前日の夕方あたりに発送をします。
当日は午前指定での受取りをするにしても約15〜18時間、サンゴはパッキングされたわずかな水量の環境で過ごすということになります。
特に真夏や真冬ではいくら発泡スチロールで保温対策がされてるとはいえ長時間の輸送による水温の変化は激しく、
サンゴがダメージを受けることは避けられません。
この点からも、サンゴをベストな状態でお迎えしようと思ったら通販での購入はあまりおすすめできません。
とはいえ、自分の行動範囲内にサンゴが購入できるショップが無かったり、欲しいサンゴが遠くのショップに入荷していたり
通販を使わざるを得ない場合は多いと思います。(筆者もサンゴ購入の7割が通販での購入です)
通販を絶対に使わない方がいいとは言いませんが、特に飼育が初めての方はショップの飼育環境やいろいろなサンゴを見ておくという意味でも
実際にショップに出向いての購入をおすすめします。
どうしても通販で購入する際は真夏や真冬の時期の購入は避け、午前中に最短で受け取れる日を受取日にするなど
極力サンゴにダメージを与えないよう十分注意し購入するようにしましょう。
サンゴの導入方法(温度合わせ・水合わせ・薬浴)
サンゴが自宅に届いたら、水槽への導入を行っていきます。
ただ、サンゴは海水魚の導入とは違ってそこまで神経質になる必要はありません。
筆者はサンゴが届いたらすぐに袋を開けて水槽にドボンしているくらいです。
これは一刻も早く水槽の整った環境に入れてしまったほうが結果としてダメージは少なくなるという意図があってのことなので、
決してケアが面倒だとかそういうことではありません。(結果として手間が省けて楽という気持ちが無いわけではありませんが笑)
基本的にサンゴは水槽にそのまま入れてしまっても大丈夫ですが、一応心配な方のために丁寧な導入方法を解説していきます。
まず温度合わせですが、これは通販での購入による長時間の輸送などでパッキング内の海水水温が水槽の水温と大きく異なる場合に行います。
やり方はサンゴが入った袋を開けずにそのまま30分〜1時間程度水槽に浮かべるだけです。
続いて水合わせですが、バケツ等の大きめの入れ物にサンゴとパッキングされていた海水を入れ、それと同量の海水を水槽から入れます。
元の海水と水槽の海水の割合が1:1になった状態です。この状態で30分程度放置します。
部屋の温度が暑かったり寒かったりする場合はエアコンを付けたりヒーターを入れたりするなどしてバケツ内の海水の温度が変化しないように気をつけてください。
時間が経ったらバケツの海水を半分捨て、捨てた分の海水を水槽から再び入れます。
これで元の海水と水槽の海水の割合は1:3になりました。
こうして徐々に水槽の海水の割合を上げていき、生体を水槽の環境に馴染ませていくのが水合わせです。
この状態でまた30分程度待ったら水合わせは完了です。
より丁寧に水合わせをしようと思ったら更にこの作業を繰り返して水槽の海水の割合を増やしていけばいいのですが、
海水魚と違いサンゴの場合急激な水温変化にそこまで敏感でなく、どちらかというと水合わせ中の水温変化の方が心配なのであまり長く水合わせをするメリットはありません。
最後に薬浴ですが、薬浴とはサンゴに付着している有害菌や害となる生物を取り除くことをいいます。
サンゴにはそのサンゴを食べてしまう生物(カニやウミウシ、巻き貝など)が付いていることがあり
、こういった生物は一度水槽内に持ち込んでしまうと最悪の場合他のサンゴにも害を及ぼし手が付けられなくなってしまうこともあります。
そこで水槽に導入する前にトリートメントをすることでこういった有害なものを取り除く必要があります。
やり方としては、専用のトリートメント液を飼育水に溶かし、そこにサンゴを浸けて数分待つだけです。
水合わせを行っている場合、その最後の段階で同時に行うといいでしょう。
ちなみに筆者はサンゴ導入の際にトリートメントはほとんど行いません。
理由は薬浴によるサンゴへの影響が無いとは言い切れないことと、単純にコストが掛かって面倒だからです笑
いつか痛い目を見ると思うので、サンゴの飼育が初めての方はきちんとトリートメントを行うことをおすすめします。
サンゴの設置場所ですが、サンゴは基本的にはライブロック上にレイアウトしましょう。
砂や岩にサンゴの共肉部が直接当たるような置き方は白化の原因になりますので避けてください。
一部砂の上にもレイアウトが可能なサンゴもいますが例外的なものだと考えてください。
(スターポリプやクサビライシ、アザミハナガタサンゴなど)
また、サンゴは安定した場所にしっかりと置くようにします。
水流でグラグラしているような置き方はサンゴが嫌がりますのでしっかりと固定できる場所に置きます。
おすすめは専用の接着剤を使ってライブロックに固定してしまうことです。
接着剤でしっかりと固定することで、ヤドカリや巻貝などによりレイアウトを崩されてしまうことがなくなり
またしっかりと固定したほうがサンゴの調子が明らかに向上するからです。
サンゴの維持方法
サンゴの導入が終わり、水槽内に小さなサンゴ礁が出来上がりました。
このサンゴ礁を維持するためには定期的なメンテナンスが必要となります。
ここからはこのメンテナンス方法について解説していきます。
毎日のチェック
毎日行うべきメンテナンスとして、サンゴの状態、水槽の状態のチェックをします。
サンゴはちゃんと開いているか?色が薄くなっていたりしないか?
水温は大丈夫か?機材は全部動いているか?
こういったさっと目で見て確かめられるものだけでいいので毎日きちんとチェックするようにしましょう。
特にろ過装置やカルシウムリアクターは1週間も止まってしまうとサンゴに与えるダメージが大きいので
毎日動作確認をし、事故を未然に防ぎましょう。
毎週のメンテナンス
毎週行うべきメンテナンスとしては、水換え、コケ掃除があります。
水換えはサンゴ飼育において非常に重要なメンテナンスです。
水換えすることにより水槽の汚れ(栄養塩)を減らすことができ、またサンゴが消費したミネラル分を補充することができます。
サンゴ飼育において水換えは栄養塩の除去というよりはどちらかと言うとミネラルの補給という意味合いのほうが強いといえます。
従って、栄養塩が出ていないからといって水換えをしないということのないようにしましょう。
水換えの目安としては、サンゴ水槽の場合、1週間に1度、総水量の2~3割の水量を換えます。
サンゴの種類や量、成長速度やろ過システムなど様々な要因によって適切な水換え量は変化しますが、基本的には上記の量を毎週行うようにしてください。
この時ついでに水槽の塩分濃度も測定して問題ないか確かめておきましょう。
水槽のガラス面に生えてしまったコケを取り除くことも1週間に1回くらい必要になってきます。
ガラス面のコケはマグネットスクレーパーを使えば水槽に手を入れることなく掃除ができますので非常におすすめです。
スクレーパーでは届かない細かな場所やシリコン付近はメラミンスポンジを使って丁寧に掃除をします。
ガラス面のコケはいくら水槽の環境が良くても絶対に生えてきてしまうものです。
コケ取り生体と呼ばれるコケを食べてくれる生物を入れることで多少はコケの生えるスピードを落とすことができますので
あまりにコケが生えすぎて困っているという方は導入を検討してください。
また、サンゴ水槽であまりにコケが生えすぎるという場合は栄養塩、特にリン酸塩とケイ酸塩が多すぎる場合がありますので
RO浄水器の導入、もしくは吸着剤の導入を考えましょう。
隔週のメンテナンス
2週間に1度行うメンテナンスとして、プロテインスキマーの掃除があります。
プロテインスキマーは泡に汚れを乗せて水槽外に出すという仕組みのろ過装置ですが、
汚れはプロテインスキマーの汚水カップと本体筒部分の上部(ネックと呼ばれる部分)に溜まります。
汚水カップもそうですが、特にネック部分に汚れが溜まり過ぎると性能低下に繋がりますので定期的に溜まった汚れを取り除く必要があります。
汚水カップは取り外して水洗い、ネック部分はスキマーごと取り出して水洗いするか
あるいはキッチンペーパーなどでネック部分に溜まった汚れをふき取ります。
ネック部分に手の油が付着すると泡立ちに影響しますのでできる限り素手で触らないように注意します。
数か月単位のメンテナンス
数か月に一度、機材のメンテナンスを行います。
ろ過フィルター、水流ポンプは汚れの蓄積やコケの付着によって運転効率が悪くなることがありますので水洗い、クエン酸漬けなどで綺麗にします。
クエン酸は海水飼育をしていると色々と使う機会があるので常備しておくのがおすすめです。
ろ材は飼育水ですすぎ洗いをして蓄積した汚れを取り除きます。
間違っても水道水でろ材を洗ってしまわないようにしましょう。
(ろ材に定着したろ過バクテリアが死んでしまい、大惨事になる可能性が高いです。)
不定期のメンテナンス(リセット)
サンゴ水槽は長期間維持していると原因不明の不調が続き、何をしても回復しないという状態に陥ることがあります。
いわゆるオールドタンクシンドロームという症状で、特に2年以上維持している水槽で起こることが多い気がします。
このオールドタンクシンドロームは以下のような様々な原因が複合的に重なって生じることで起こります。
- 底砂やライブロックに汚れが蓄積
- 飼育水のある成分が慢性的に不足、あるいは過剰
- 海藻やコケ、その他有害生物の大繁殖
- 飼育機材の性能低下
上記の要因はどれも徐々に進行・悪化していくものなので飼育者が気づきにくく、
またサンゴも少しづつ徐々に環境が悪化していくので突然死んでしまうことはないが、どこか調子が悪い状態が続くといった状態になります。
こうなってしまった場合、水槽のリセットが必要になります。
リセットには全リセットとリセット水換え(半リセット)の2つの方法があります。
全リセットはその名の通り全てを1からやり直すリセット方法です。
飼育生体を一時的に他の場所に隔離し、水槽の底砂、ライブロック、海水を全て入れ替え、飼育機材も全て清掃し文字通り全てをリセットします。
このリセット方法のメリットとしては、全てを入れ替えるのでリセット後の水槽に悪いものを持ち込むことが無く、
完璧な状態から始められるということです。
逆にデメリットとしては、底砂やライブロックの入れ替えコストがかさむこと、時間が掛かること、生体を隔離しておく場所の確保が必要などが挙げられます。
リセット水換え(半リセット)は、大量水換えを行うことで水質のリセットを行う方法です。
総水量の8~9割の水量を水換えし、水質的にリセットを行う方法です。
この方法のメリットとしては海水さえ用意できれば普段の水換えと変わらない方法でリセットが行えることが挙げられます。
またバクテリアが十分に定着した底砂とライブロックを残すのでリセット後の復旧が非常に早いということも大きなメリットです。
デメリットは底砂やライブロックを入れ換えないので若干のリスクを残すということが挙げられます。
全リセットは不調の原因と予想されるあらゆる要因を排除することができますが、
小型水槽ではともかく90cm以上の大型水槽では立ち上げ以上の大掛かりな作業になることがあり、手軽に行える作業ではありません。
大型水槽で全リセットをするのは余程水槽の状態が悪い場合か、水槽のサイズアップや引っ越しに伴った全リセットの場合くらいになると思います。
オールドタンクシンドロームには基本的にはリセット水換え(半リセット)で対応することになります。
ほとんどの場合あらゆる問題はリセット水換えで解決するので長期間維持しているサンゴ水槽でどうも調子が悪いなと感じたらひとまずリセット水換えを行い、
それでも調子が上向かないようなら全リセットの検討や機材の不調を疑いましょう。
まとめ
サンゴ飼育の方法について知ることができましたでしょうか。
サンゴは飼育方法さえ間違えなければ意外と簡単に飼育できてしまう生き物です。
海水魚だけの海水水槽も十分綺麗ですが、サンゴも一緒に飼育することでより一層鮮やかな水槽になるでしょう。
海水魚は本来サンゴ礁に生息している種が多く、本来の生息環境を再現するという意味でも海水魚はサンゴと一緒に飼育するべき生き物だと思います。
マリンアクアリウムをしていてサンゴを飼育しないのは本当にもったいないと思うので、是非サンゴの飼育を始めてみてください。